今回は少年ジャンプ+
ここでトガタに語らせることによって、妹のセリフの真意を数十話越しに、遠まわしに描く構成は悪くないと思う。
まあ、立場や状況も違うから再現ってわけではないのかもしれないけれども。
そこからは怒涛の展開といった具合だが、これまで丁寧にやるべき箇所をかなぐり捨てて、作者が見せたいところだけクドいくらいに見せて、そしてこのタイミングでも本筋をああいった風に描写されると咀嚼に難儀するなあ。
企画自体は興味深いし、様々なしがらみを気にしない前提で感想を述べるならば、面白かったと思う。
特に4枚目の発想は恐れ入った。
そこを切り取るのか、という。
しかし、基本ジャンプは男子向けだとはいえ、野郎どもだけで女子トイレマークのデザイン考えるという構図のマズさは気になる。
このノリは例えるならアレだ、学校の休み時間に同性が集まってする猥談のノリに近いと感じた。
その規模を人様向けに、大人たちがやった結果、本質的な問題がより浮き彫りになってしまったという印象。
少年ジャンプ+の編集はフットワークが良くも悪くも軽くて、それが功を奏するケースもあるんだけれども、今回はそういったのが悪目立ちしているケースだなあ。
ジャンプ+では『おかずサイト』っていう読み切り作品があるんだけれども、あれを読んだときも「大丈夫か、コレ?」って思ったもんなあ。
殺人鬼の動機として芸術だとかそういった理由は、個人的に辟易しているんだよなあ。
ただ、まあその後語られる持論そのものは分かりやすい理屈を述べているのは良いと思う。
「とりあえず支離滅裂な、狂っている言動やらせとけばいいだろ」みたいに描かれるサイコキャラは陳腐でしかないので、そういうところでクレバーさを表現することは大事。
相手がどう動くかが何となく分かっているのに、その上でタイミングに怯え、取り返しのつかない事態になってもおかしくないという緊張感も上手く描けていると思う。
これは主人公にも言えることで、後半の向こう見ずな行動はハラハラさせてくれる。