事件です。
今までは、よく知りもしない人と2人っきりで何時間も過ごすなんて苦痛以外の何物でもなかったけれど、
生まれて初めて、何時間も一緒にいても悪い気持ちが起こらなかった。
今までは、そんな思いだったから2度目のデートにかこつけることもなかったし、
物好きさんと2回くらいデートしてもこちらが限界だったりしたのに、
そのどちらにもならずに数回のデートを重ねられたのは、生まれて初めてだった。
私史上で言ったらもはや奇跡レベル。ツチノコと出会ったと思った。
でも結局自分は自分でしかなくて、やはり今回も“選ばれる”経験まではできなかった。ツチノコゲットならず。残念。
事件じゃなかった。
さすがにもうそれなりの時間が経ったので復活はしたものの、やっぱり自分は“選ばれない”タイプの存在なんだなって思い知ったし、
さて改めてこれからどう生きていこうかと思案を新たにし始めた最近です。
でも良かったと思えることはいくつかある。
メッセージのやりとりが、こんなにどきどきわくわくするものだとは知らなかった。
体力的にしんどくても、それを越えて会いたいと思えることが確かにあるとは知らなかった。
会うために服を新調することがわりと楽しいとは知らなかった。
思い出すだけで、にやにやしちゃう会話があるなんて知らなかった。
会ってないときは会いたくて、会ってるときはもっと一緒にいたいと思うなんて、知らなかった。
何も知らなかった。
知らなかった感情を知っていくことはとても楽しかったし、とても有意義だったと思っている。
やっぱり事件です。
今までは楽しいと思えるデートなんてしたことなくて(それは相手のせいではなく、相性の問題か私の問題)、
だから恋人を作って忙しい合間を縫ってデートしたりメッセージのやりとりをしたりすることの面白さがまったく理解できなくて、
恋人を作るなんてことは、私にはまったく向いていない、優先順位最下位の話だと思っていた。
けれども今回の事件で、この世に生を受けて○十年、恋愛に関するセンスが微量ながら検出されました。
ひっくり返ったのは心だけで、人生はまったくひっくり返らないかもしれないけれど。……それって、何も知らなかったころより辛くね?
でも、悪くない事件だったと、悪くない出会いだったと思いたい。
何があったわけでもないし、自分は物理的に一切損をしていないので、あとは自身の心持ち。
初恋かもしれなかった話。
これを恋にカウントするかは、もう何年か後に決める。