片田舎の真っ直ぐな国道を走行中、前方に黒色の塊が見えたので少しばかり速度を落としてハンドルを左へ切りながら脇を通過しつつそれを見る。
かわいそうだが私も急いでいるし、こんなことを言っては何だがよくあることだ。心の中で手を合わせ、素知らぬそぶりで先を急いだ。
2時間ほどして用事を済ませ、元来た道を戻る途中、件の現場の反対車線を見るとまだ横たわっているではないか。それも、先程より損傷が激しいようだった。
さっき降りて道路脇にでもどけておいてやればよかったな。と、心で思いながらも会社へ戻るのだ。
ああ口だけ思うだけ。情けない人間になったものだ。小学生時分には死んだ小鳥を筆箱に入れて庭に埋めてやるような奴だったのにな。