今月卒業する。就職先も決まっている。だけど自分は学ぶには遅すぎた。全部自分が悪いのだ。社会のあらゆるものから逃げるために学校に入り、履歴書の学歴欄を埋まるだけという愚行を犯した。
昨日、アマゾンのアニメに自分と同じような境遇の人間が描かれていた。いや、自分よりもはるかにましだ。少なくとも年上であることを自覚して周囲との調和と図り、人生のやり直しをしているのだから。俺はできなかった。人生をやり直すには、この学生生活は長すぎる。
数年前、身体に重大な欠陥があるとわかり会社を退職。その後半年ほどふらふらして実家近くの学校に通った。
名前を書けばだれでも入れる、とは言わない。だけど学費の安さにつられる程度の学生が集まる学校だ。
成績は普通に良かった。高校時代にちゃんと勉強していたからなのか、テスト自体で落とすことはなかった。やる気があまりなくて欠席による補講があった以外は。
問題は就活だった。当然こんな歳ではまともな会社はとってくれない。周りは自分より年下で若い人間ばかりだ。そんな人たちと肩を並べて「新卒」なんて言っても通用しない。経験の浅い、職歴も大したことのない、できそこないのばか。世間の目がスーツ越しに刺さった。
学校に入ったのは逃げだった。
ここでなら自分は変われるなんて言うのは嘘でしかない。社会から追放されたに近い退職理由が尾を引いて、脱落した先の安住の地がここだった。当然そんなことで変わらない。何も学べない。
次の会社でも長く続かないのはわかっている。おそらく1年もつかどうかだ。
若返りの薬はいらない。