今回は少年ジャンプ+
ちょっと話が壮大になりすぎて、ここらへんをとやかく言う気は起きないけれども、そこまでして今の文明を破壊する目的が予想外だったね。
上滑り気味だけれども。
行動の壮大さに対して、その理由は大したことないってギャップは演出として大いにありだとは思うんだけれども、それを考慮してなお脱力感のほうが強いと感じたんだよなあ。
まあ、案外そういった些細な思いが活力になるってのも分からなくもないけれどもね。
幽白に出てくる樹ってキャラの「明日『ヒットスタジオ』に戸川純が出る」っていう件とかが私は好きだし。
それがこれと同じかっていうと、意味するところも状況も違うし微妙なところだけれども。
導入部でさらりと必要悪を大義名分にしてくる構成に、不覚にもやられた。
豆に対するのが、同じく栄養価の高いものなのも、こじつけなりに考えているというか。
ネタがこじつけばかりなんだけれども、節分自体がこじつけなんで、その前提が無理なく成立してコメディになっているわけだ。
トガのコスプレの件で「媚びたカッコをするな」とかバッサリ切り捨てるあたり、かえってヴィラン側のほうが健全に見えるという不思議(ただ、オチの格好を見るあたり、単に趣味嗜好の違いなんじゃねえかと勘繰りたくなるが)。
黒霧が部屋の掃除で自身の能力を活用しているのも興味深いよね。
本作ちょいちょい登場人物たちの個性を変な使い方するスピンオフならではなネタが出てくるんだけれども、本編のヒロアカも世界観の掘り下げとして、こういう些細なことで能力を使う描写もっとあってもいいと思う。
この作者はこれまでスポーツものを描いてきて、心情描写を表現する点で光るものがありつつも、どうにも所々噛み合わないところがあったんだよね。
なので今回の青春物語に重点を置いた構成は、作家の感性を活かすという意味では向いている作風だとは思う(それが読者と擦り合っているかは分からないけれども)。
特に印象的なのは、何気ない一言でバッサリ髪を切ってくる女子に、主人公がドン引きするシーンかな。
ヒロインの見た目が変わるっていう重要なイベントを、ああいう風に描写してくるというね。
まあ、メインキャラの見た目が変わるのって割と繊細なポイントだから、読者が愛着湧く前に1話の時点でやってしまって、それをヒロインの意志と絡めた構成にしたのは英断だと思う。