お笑い芸人で絵本作家の西野さんについて、「無料公開はクリエイターの首を絞める」「いや、無料公開はいいけど、あの態度が問題だ」とか色々な論争が起きてるじゃないですか。でも、ぶっちゃけ全部ずれてると思います。彼はクリエイターなんだから、彼の作品のみによって批判されるべきだと思うんです。
この論争で誰も触れないですけど、あの絵本面白いですか?絵本として面白いですか?
絵は凄い。でも、絵本の面白さってそこですかね。大事ですよ、絵は。でも、もっと大事なのは、そこから広がるセンス・オブ・ワンダーだと思うんですよ。『かいじゅうたちのいるところ』みたいな名作には、それがあるじゃないですか。
絵本の楽しさって、枚数・文字ともに制限された世界から、読み手が思い思いに広げる、広がる世界、そこにこそ絵本の豊かさがあると思うんです。要するに、ヤバイ世界をどれだけ見せてくれて、どれだけ僕らの心を刺激してくれるかじゃないですか。
僕の好きな絵本に「ガガガガ」っていうインディアン神話をもとにした絵本があるんですけど、これは凄いですよ。主人公は石と鳥がまぐわって生まれた子供で、物凄く長いへそと尻の穴を持っていて、邪魔な奴は尻の穴を首に巻きつけて、絞め殺しますからね。何を言っているかわからないと思うんですけど、そういう話だから仕方ない。
ヤバイ世界をどれだけ見せて、僕らの心をどれだけ刺激してくれるか、絵本の魅力ってそういう所だと思うんです。
「えんとつ町のプペル」はその点が極めて、極めて凡庸じゃないですか。何ですか、「風船をたくさんつけて空を飛ぶ」って、その児童作品で7兆回くらい繰り返されてきたモチーフは。何ですか、「ゴミに人の魂が…」って。その何度も繰り返されてきた展開は。登場人物の目的が「世界のはての綺麗なものを見に行く」っていうさ…イオン行け、イオン。何でもあるぞ、あそこには。
「絵がすごいなー」ってだけで、一回も「ヤバイものを見た感」が味わえない。「はらぺこあおむし」とか、絵からして強い(確信)ですからね。そういう驚きが一個もない。
さらに、質が悪いのが「あとがき」ですよ。「夢を語れば嗤われる世界(えんとつ町)で、それでも夢を見るからいじめられる」「捨てろといわれる夢を捨てられない象徴が、ゴミ人間」みたいに、一個一個メタファーを解説しちゃうわけですわ。これ最悪でしょ。「糞だせー」でしょ。読み手の中には、それぞれの世界が広がってたんですよ。きっと。このあとがきを読むまでは。
でも、このあとがきを読んだ瞬間に、読み手の世界の広がりは雲散霧消して、「西野のお説教」に矮小化されてしまう。もう、この「あとがき」の時点で、西野さんはどこまでいっても西野さんだし、西野さんは既に凄い人なんだけど、たぶん、ずっと西野さん以上にはなれないんだろうな、という次第。
西野さんはどこまでも絶え間なく広がっていて、もがけばもがくほど、きっと西野さんは西野さんの五臓と六腑に染み込んで、また西野さんが再生産されていくんだろうな。きっと。
糞つまんねー奴が土足で絵本業界踏み荒らすわ、 ついでに無関係な各位にも喧嘩売る発言するわでマジで百害あって一利なしって感じだわ
さすがに「かいじゅうたちのいるところ」クラスの名作と並べると、西野に限らず日本の絵本はだいたい霞んでしまうだろ… あんなんとタメ張れるのなんて「いいおかお」くらいしか思...
「ガガガガ」じゃなくて「カガカガ」じゃなかった? 四角錐みたいなキャラが主人公で、へそが長かったのは覚えてる 小さいときに持ってたんだけど、見当たらないんだよね また読み...