2016-12-05

アレフ勧誘を受けた

帰り道大通り駅で地下鉄を乗り換えていたら突然女の子連れのおばさんに話しかけられた。「マインドフルネスって知ってますか?」「ヨガを習っているんですが、自分講師になる練習がしたいので練習相手になってほしい」と。明らかに胡散臭くて面白そうな匂いがしたので連絡先を交換して別れた。

翌日連絡があってその週末市内某所のファミレスに呼び出された。まず俺とおばさんの2人(もしくはプラス子供)かと思ったら、子供に加えてもう先に一人若い男が来ている。田中さん仮名)と呼ばれた彼は年は23歳で俺のひとつ下でパチンコ店員をしていて、一ヶ月くらい前にカレーを食べようと思って歩いていたところ俺と同じように駅で声をかけられ、その日のうちにレッスンを受けたという。なんでヨガを習っているのか尋ねると自分頭が悪いからと言う。たしかにIQ80くらいに見えた。おばさんが「毎日10時間睡眠だったのが6時間睡眠になった」「田中さんはその日の内に実践したので効果はすぐに現れた」と重ねる。

そんな話をしたところでチャクラ診断とやらをする。いろんな「人助け」とか「ホラー映画」とか40〜50個くらいの項目に「よく当てはまる」「当てはまる」「当てはまらない」で回答していく。それぞれ2点1点0点が与えられ、各設問は5つのカテゴリに別れ、最終的に5つのスコアが現れた。

それっぽい折れ線グラフ作成され「あなたは〇〇な人ですね」みたいにいろいろ浴びせられる。詳しく覚えてないが、そのうち喉が悪くなるカテゴリの点数が高かったらしく「喉の風邪をひきませんか?」と言われたが、風邪を引いたら大抵喉は痛くなるものだと思い「普通です」と答えると「そのはずはないです」不満げになられたりしながら、本題のヨガ講義をするに前に自己紹介スライドを見せられる。

これまで曹洞宗の父とクリスチャンの母の間に生まれて、周りの大人がみんなバカに見えて、小学生のころテストをしたら知能指数道内一番だと言われたけど、頭良く振る舞っても損しかしなかったのでバカのふりをしてたら本当にバカになってしまって、悪さと享楽の限りを尽くしたが、ヨガ先生出会ってヨガを学んで大切なことお金とかそういうものじゃないと気づき、今では六年くらい経って最高に幸せだ、みたいなことを言っていた。

かつてどんな悪さをしたのか聞いたら「男遊びとか、ときには薬とかにもを手を出しました」と言う。隣に娘がいるにそんなこと言っていいのかと内心ツッコミを入れつつ「そりゃ大変でしたね」みたいな反応しかできなかった。あと三年前から姉と2人の会社社長をやっていて、市の援助を受けた新規企業の成果発表会で、ヨガの教えを取り入れた発表をしたら一番評価された、みたいな自慢をされた。そんな感じの話を聞いたあたりで、最初のレッスンが始まった。

内容は大別して、嘘を言わないとか人に優しくしようとか極めて道徳的に当たり前なことと、チャクラとかクンダリニーとか理解不能オカルトものと、いか自分先生ヨガ修行を30年近くしてる)がすごいか、の3種類に分かれた。1つ目に関しては、不要言葉は削ぎ落として(あいさつでさえ)意味あることだけ言うようにしようとか賛否ありそうな点もあったが、普遍的ないわゆる良い習慣なことばかりで「なるほど、そうですね」みたいな感じだった。問題は後ろ2つで、本当に意味不明だった。チャクラは腹の中のぐるぐるしたものクンダリニーから溢れ出ていくつかのゲートを通過して頭頂から突き抜けていき、これを極めると覚醒するのだという。そしてピラミッドチャクラ装置であり、クンダリニー覚醒して実際に訪れてみれば分かる、と言う。耐えきれなくって「いやそんなわけないでしょwww」と笑っていると、真剣に「そうやって思うのは覚醒してないからだ」「私も娘もクンダリニー覚醒してるのでわかる」と言う。3つ目の師匠に関して本当に謎だったので「会ってみたい」と言うと「面会には1000円かかる」と言われて「さすがに金はかけたくないっす」と素で反応してしまった。こんな応酬をしたあたりでタイムアップ。「良ければあと3回くらい予定を入れましょう」と言われたがさすがにそこまで付き合えないので「とりあえず来週土曜」と時間場所は決めなかった。最後資料の入ったクリアファイルプリントを抜き出して田中さんと俺の分けて渡されて、「また会うのなら」とクリアファイルごと貸し出されそうになったが、さすがに荷が重く思いプリントだけ貰って解散となった。

寝不足で朝飯も食っておらず勝手におごりだと踏んで少し高めの900円くらいのエッグマフィンプレートを頼んでいたが、まさかの割り勘でテンションだだ下がり。店を出るとおばさんと田中さんと2人はさら用事があるのか俺だけ駅へ帰ることに。

帰り道に即座に友人に「激ヤバ資料ゲットしたwww」と連絡すると近くに居たので帰りの足で合流。近くのカフェに入って何かやばめの勧誘なのは間違いないみたいな話をしていると友人がプリントに「グル」というワード発見アレフと気づく。それからはいろいろと腑に落ちまくってなかなかのカタルシスだった。逆にそれまでに気づかない自分の警戒心のなさに愕然とした。

とまあ、何が言いたいかと言うと「ヨガ」というキーワードを出されて延々オカルトな話を聞かされても一般人(少なくとも俺や田中さんに至ってはおそらく今も)はそれに気づくことができないし、札幌市もそういうヤバめなおばさんのやってる会社を援助しちゃうし、未だにカルト現代社会に息づいていて、社会勉強で、年末にして厄年っぷりを発揮したなと思ったのでした。

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