『この世界の片隅に』の感想を述べている人たちは、こぞって、「反戦思想を押し出していないのがよい」という言い方をする。
そして「主人公が反戦思想を語らないのがよい」と言っている人もいた。
それで気になったんだけど、『火垂るの墓』って主人公が反戦思想を語るシーンがあった?
主人公の男子はむしろ愛国少年だった。彼は政府や軍部を批判しなかったし、日本の勝利を信じていたので、けっして反戦思想を語ったりしなかったと思う。
なので、あれが反戦映画とされるのは、「おいお前ら、この悲惨な子供たちを見たら戦争のひどさが分かるだろ!?」という理由ではないのか。
追記1
もちろん『火垂るの墓』の場合、悲惨さを強調して伝える表現手法を取っているため、ろこつに反戦思想を押し出しているとは言える。そこが製作者の意図したところではあるだろう。
しかし、それだったら『この世界の片隅に』も、戦時中の生活をリアルに淡々と描くという手法で反戦を訴えているとも言える。これはこれで押しつけがましいというか、すごく辛気臭い話だった。あきらかに「戦争ってイヤだな」という思想へと誘導していると思った。
追記2
漫画『はだしのゲン』についても言っておきたい。主人公・中岡元が反戦思想を語るとき、それは自身の経験に基づくことが多かったはずだ。
父親に反戦思想を教えられたゲンがそれに感化されるのは当然のことなのだし、そもそもゲンはまさしく戦争の被害者として辛酸を舐めてきた。中岡家は戦争に非協力的だと見なされたため、戦時中は陰湿なイジメを受けまくって、最後には原爆によって大切な家族を殺されてしまう。
このような体験をした主人公が反戦を語るのだから、そこには圧倒的なリアリティがある。
(ところで、『はだしのゲン』もアニメ映画の方はそれほど反戦思想を語るシーンってないよね? ゲンは明るくて元気な子供だ。彼にはまだ難しい政治のことは分からない。原爆が落とされる前も、落とされた後も、そういう無垢な子供としての日常生活が描かれていたと思う。
そこには苦しいことがたくさんあったが、楽しいことだってたくさんあって、ほほえましかった。その意味で、これは『この世界の片隅に』にけっこう近いと思う。)
おう、そうだな
パンツが見えたので☆3つです。