「まだアメリカにこんなところがあったのか…」
思わず口に出てしまった言葉を同行した上司に失礼だと咎められた。
小人が住むような小さなワゴンを改造した家、ツギハギだらけの服を着る白人たち、
そして彼らは余所者で身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。
グローバルだの、アルゴリズム取引だの、シリコンバレーだので浮かれていた
我々は改めてアメリカの現状を噛み締めていた。
ボロ屑のような机に居たのは老いたトランプ支持者が一人
我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに
何度も土下座して詫びた。
我々は貰ったアップルパイを手に、
打ちひしがれながらカリフォルニアへと帰路についた。