久しぶりに酒を飲まずに布団に入ったら、眠れなかった。目を閉じて、四肢から力を抜こうと意識してみたが気づくと不自然な力が入っている気がする。しばらくそうやって眠れない自分自身と格闘していても一向に埒が開かないのでチョットだけ飲んで寝ようという気持ちが湧いてきた。そう思って体を起こそうとしてもなんだか起きられない。それでも意識はぼんやりと保っていて、カーテンの隙間から差し込む街灯の光に照らされた天井がうっすらと見える。
そうこうしているうちに意識が飛び飛びになっている感じがしてきた。一体どれくらい時間が経ったんだろう。そう思いながら時計を見ようとしても体に力が入らない。なんだか思考も混乱してきて、妄想と想像と現実が入り混じって卑猥な映像と明日の仕事の予定が交互に切り替わって行くのを感じた。夢でも現実でもないこの不快な感覚はなんだろう? 気づくとカーテンの隙間から朝日が漏れている感じがする。ああ、無常にも朝が来てしまった。そう思った頃になってようやく意識が無くなった気がする。
気がつくといつもの起床時間で、何とか布団からでてみたら体も頭もボロボロになっていた。徹夜の辛さから、頭痛と筋肉の痛みを取り去ったような感じが全身を支配していて、会社に行くのも苦痛だった。
眠るなんてことは、一見簡単に見える。それでも人間はときどき、眠り方を忘れてしまうんだなあ。誰か、眠り上手にコツを教わりたいもんだ。