もう何年も前のことだし、忘れようとしてきたことだけどこれを呼んで思い出してしまった。
私(当時20代・女性)は以前勤務していた会社で、上司(当時40代後半・男性・既婚)に告白をされて同じような気持ちを味わった経験がある。
私はいろいろあって苦労してその仕事に就いたということもあり、できることならずっと仕事を続けていたいと思っていた。
求職時にも産休やや育休やらの前例があり福利厚生もきちんとしているところなだと思ったのでその会社に決めたという経緯がある。
私は中途採用で入ったが、その業種では経験値が重視されるということもありほぼ素人同然で業界に飛び込んだ私は直属の上司である某氏に頼ることになった。
就業最初から色々親切にしてくれ、経験不足の私を教えフォローしてくれたということもありとても尊敬していた。
時々ちょっとスキンシップが過剰かな?くらいの印象はあったけど、私は彼氏がいるということを割りとはやい段階で言っていたし、向こうも既婚者だということで特別気にしないようにしていた。
なのにある日突然に「好きだ、抱きたい」というようなド直球な告白を受けた。
飲み会のあとの送りの場面だったので冗談かなといろいろかわすようなことを言ったけど、こちらのはぐらかしをものともしない言い方だったのでほぼほぼ間違いなく本気でそう言っていたんだと思う。
だけども当時彼氏とも結婚の話がほんのちょっとだけど出ていたし、何より上司の性格的に微妙に完全に信頼しきれない部分を感じていたのでその時はかなり強引な理屈をつけて逃げた。
ようよう自宅に帰ってから、何となく自分の体が汚れたような気がして念入りにシャワーを浴びているというところで上司からLINEがきていて
「悪かった。今後も普通に仕事をしてほしい」みたいなことがあったのでとりあえず安心してしまったせいか
「気にしないでください。私も上司さんのことは人間として尊敬しています」みたいな返答をしてしまった。
それが今思えばよくなかったのかもしれない。
休日があけて出社したあと、上司は一応少しは少し距離をとるようにはしてくれていたけど
1週間くらいしたあたりから何かと体に触れるようなことをするようになってきた。
私の感覚だと、一回振られた相手なら気持ち的に遠慮して一緒になる機会を避けるんじゃないかって勝手に思っていたんだけど
元上司はそうではなかったらしく、その後も私の仕事にいちいち「大丈夫?」みたいなことを言ってきたり、私が他の同性の同僚と飲みに行く約束をしているときに「俺も行こうかな?」みたいなことを平気で言っていた。
私としてはこちらが望まない告白を受けたんだし、はっきり付き合えないという意思表示もしたんだから向こうが一定の距離をおいてくれて当然と思っていたのに全くそうではなかった。
ちなみにその元上司は社内では愛妻家で通っており、デスクの上に家族写真をいくつも並べているということから家族愛が強いキャラとして認識されていた。
言い訳にならないかもしれないが、私もそうした普段の様子を見て深夜まで二人きりになるというようなシチュエーションに危険を感じなかったという落ち度はある。
私は婚約は一応してるものの具体的に結婚が決まっているというわけでもない微妙な彼氏がいるのに、そこにやたらと親しげに肩や頭に触れてくるという上司がいるのは気分がよくはなかった。
そうしたスキンシップも、私がなんとなく黙認しているから向こうがつけあがって継続してくるんじゃないかという自責もあった。
だけど前に告白を受けた時に建前とはいえ「人として尊敬しています」というようなことを言ってしまっているのに、肩や頭にふれられるのを突然拒否するということも出来ない気がした。
そのあたりも元上司のずるいところだけど、胸やお尻といったセクハラに該当しそうな部分は巧妙に避けていた。
結局、私はその会社を辞めた。
それまで結婚時期を決めかねていた彼氏に強引に迫ってスケジュールを前倒ししてもらい、それを期に退職したいというように会社に申し入れた。
事情を知らない会社の人事は私を引き止めてはくれたが、私が元上司のことについてそこで訴えても「自意識過剰」「もう向こうはそんなつもりはない」といったように言い訳されるのがはっきりわかっていたのでやめた。
結婚後別の職に就いたがやっぱり今でもあの仕事を続けたかったという後悔も今も感じている。
もちろん元上司に対する恨みも、何か日常でストレスがあるとふつふつと湧いてくる。
何が言いたいかというと、記事にあるZ君は私が感じていたような不合理な圧迫感を周囲に訴えることで解消したかったんじゃないかと思う。
ある意味同性異性の違いはあれ周囲に訴えて打開ができる状況にあったことはうらやましいとすら思える。
私が周囲に「この上司は不倫をしたがってますよー。近寄ると危険ですよー」と訴えることができたなら同じことをしていたかもしれない。
だけども私の場合、私よりも上司の立場が圧倒的に上であったためにそうした報復的な行為ができなかった。
私だけではない。もしかしたら不倫関係で悩む女性には同じような悩みがあるのかもしれない。
そうした経験をもう何年も前に受けた私が今この記事を見て思うことは、ようやく望まない告白を受ける恐怖を男性側も表に出せるようになったのかということだ。
望まない告白を受けてそれまでの仕事や立場を失うということはおそらく私のように多くの女性が経験してきたことと思う。
世間では「痴漢冤罪」やら男性に非がないのに女性が無理やり犯罪を作り上げているかのような言い方もあるが、それは全体からの割合で見ればごくごくごくごくこごく小さいものであり、現実は女性が被害を受けていることがほとんどだ。