ヨッピーがYahoo!個人に投稿した「PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景」という記事が爆発的な勢いで拡散している。Yahoo!個人はページビューに比例して報酬が支払われるから、沖縄で一週間過ごしてもお釣りが来る程度の収入になったのではないか。
ところが一部のブコメが見るに堪えない。「ヨッピーがジャーナリストに転身か」などと書いている者が少なからずいる。えっと、取材にかけた労力を上乗せして大甘な評価を付けたとしても、ヨッピーはジャーナリストとはいえないんだよね。大手マスコミの関係者なら誰もが「この記事はアウト」と断言するはずだ。
たしかにヨッピーは、自身では風俗ライターなどと茶化しているが、以前に書いた記事を見れば有能さは一目瞭然。寝起きのような顔写真は嫌みのないセルフブランディングになっているし、顔アイコンを並べた軽妙なやり取りはいまやネットメディアにおけるパブ記事のテンプレと化している。その上で文章にはジャーナリスト的な風味が加えられていてインテリを唸らせる部分もある。個人的にはよくやっていると思う。
しかし、それはあくまで「ジャーナリスト的」なものに過ぎない。大手マスコミで、駆け出しの記者が件の記事のような原稿を書いてしまったらどうなるだろうか? 赤を入れられるどころか、「当事者に肩入れして一方的すぎる」と完全にダメ出しを食らうのが関の山なのだ。
ジャーナリストだって人間だ。義憤にかられることもある。だが、その視点は常に公正中立なものでなければならない。公正中立とは、悪を断罪するという意味ではない。被害者(と主張する)側だけでなくPCデポ側の意見を併記するのはもちろんのこと、悪印象を植え付けるような印象操作や炎上を煽るようなことをしてはならない。最終的な判断は読者に委ねるべきなのだ。
このあたりで「大手マスコミはスポンサーに配慮して書けないのだ」といった頭の悪い批判をする者が現れるだろう。だが全く次元が異なる。言っちゃ悪いが、PCデポごときに配慮する理由など大手マスコミには欠片もない。記者倫理によりそうした報道はできないというだけだ。
今回、ヨッピーは世間の期待に応えようとするあまり、勧善懲悪のストーリーを下敷きとしながら、ジャーナリスト的な視点を入れて記事を完成させたのではないだろうか。以前に氏が活躍したバイラルメディア批判からも読み取れるように、心のどこかでジャーナリストに憧れている部分があるのかもしれない(本人は否定するだろうが)が、これに味を占めてはいけない。自身が本当に正しい方角を向いているか、一度振り返ることをおすすめする。
じゃあ本物のジャーナリストとやらを連れてきなさいよ