褒めて欲しい気持ちをチラつかせながらメールを送ると、すぐに望み通りの答えが返ってきた。
彼の考えていることが理解できる。
元々、仕草や言動を細かく観察して、相手の思考をあてたり好みを把握するのが得意な方なのだ。
友人の誕生日にプレゼントをあげて、「これちょうど欲しいと思ってたやつ!!」と言われるようなことが何回かあったし、この感覚には結構自信をもってよいと思う。自分で言うけれど。
彼の考えることも割とわかる。
彼は素直なのだ。
そして目が悪いのだ。
だから私のようなものを好きになる。
何かの本に、「男は自分のことを好きな女を好きになるけど、女は自分なんかを好きになる男なんて」と書いてあった。
安野モヨコの『ハッピー・マニア』には「こんなのじゃないの もっとカッコイイ人がいいの あたしみたいな女の子スキになんかならない カッコイイ男の子」というモノローグがある。「わああぁん」と泣き叫ぶ主人公の絵が印象的だ。
この、自分の存在を根っこのところから痛めつけて阻害してしまう感覚が、多くの人に共通の感覚ならば少しは気が楽になるなぁ。
私は彼のことを把握しているし、私のことも把握している。
自分の底の浅さ。見え透いた餌をまいてしまうところ。
それに素直に引っかかってしまう彼の美徳が、どうか自分とは関わりのない世界で保たれますように。