自分も大概なクズなコミュ障だが、その自分から見て「ああ、真性のコミュ障ってのはこう言うのを言うんだな」ってのを前職を辞める直前で見かけたので備忘録がてら書き連ねる。
■対象
ありえない程匂いのきつい香水をつけてくる。どれくらいきついかと言うと20畳程はあるだろうかフロアがその匂いで充満する程きつい。体臭等の理由があるのかもしれないがそれでも度を過ぎていた。隣りに座っている自分は毎日匂いのきつさのあまり頭痛に襲われた。
■やたら細かい所にこだわる、自分の意見を曲げない、人の意見を受け入れない
その会社では作成した画像を正式納品物以外は透かしを入れていた。持ち逃げ対策。しかしこれが気に食わないらしく「なんでこんなことをするんですか、必要ないでしょう」と言って聞かない。持ち逃げ対策で事業部当初からの慣例だと言っても「そんな必要はない」と言って一歩も譲らない。
最終的に「そこは議論に時間をかける必要もないし、これ以上時間をかけるのも無駄だからこの話はしない」とはねつけたんだが、そうすると「そんなレベルの低い話をしたくない」と尚も食い下がる。もううっとうしいから言ってることを無視して自分の作業に戻ったがこれが1週間ほど続いた。ありえない。
それだけでなく、自分は見聞でしか無いが経理側の慣例となっている作業に噛み付いて、そこでも2時間程お局とぐだぐだやりあったらしい。そこでも「レベルが低い」発言が何回も飛び出したそうだ。
10社も経験してれば入社数日の自分の意見で会社の慣例を変えられる訳もなく、それをする為にはまず社内で実績と信頼を勝ち取り、意見が通る環境を整える必要があることくら分かりそうなものだが、それが絶対的に理解できず「自分の意見が絶対的に効率的で正しくそれが理解できないのは君のレベルが低いからだ」が思考の基本形式らしい。
ぶっちゃけると、俺はその会社を退職までの最低猶予期間である2週間きっちりで辞めるよう手続きしていた。担当している仕事分量は多く、はなっからまともに引き継ぎできるともしようとも考えていは居なかったが、形式としては一通りの引き継ぎをしたと言う「建前」は必要だ。
なので一応ざっとした引き継ぎスケジュールを作り、それに基づいて引き継ぎ作業を行おうとしたのだが、今やっている作業が終わったら引き継ぎ作業を行うから声をかけてくれと言ってから2時間、3時間たっても一向に声をかけてこない。しびれを切らしてこちらから声をかけた時の会話の概要が下記の通り。
「手が空いたら声をかけてくださいって言いましたよね。今までの時間全く手が空かなったのですか?」
「はい」
「いくらなんでも3時間全く手が空かないってことはないですよね?何やってたんですか?」
「それは急ぎじゃないですよね、いつやってもいいですよね?俺、後一週間(※)でいなくなりますよ。引き継ぎ全然進んでないんですけど、その辺分かった上でやってます?」
「はい」
「分かってるんならどうして引き継ぎの作業じゃなくて、優先順位の低いそっちの作業をするんですか?」
「そう言うレベルの低い話はしたくないです」
「(またそれかよ)」
※…上記のようなやり取りが延々続いており、引き継ぎ進行率は残り1週間で切った所で20%もなかった。
俺は30代後半で子無し嫁無し家庭無しだ。主原因は俺のコミュ障にあるのは明らかだが、生まれ育った家庭環境の関係もあって結婚と言うものに期待も希望もなく、普段はエロゲ、時に風俗で十分満たされており、今後もその生活を変えるつもりは全く無い。
結婚の話になって「俺結婚するつもり無いんですよ」と言われたら、それなりに裏を色々察してそれ以上突っ込まないのが、普通の感性の持ち主の反応だと俺は考える。だが奴は違った。
「え?なんで結婚しないんですか?頭おかしいんですか?何かの思想信条ですか?それともなんか宗教的な理由ですか?」(入社3日目・原文ママ)
相当親しい人間同士の砕けた会話でも、宗教や思想信条と言う言葉を使っては会話しないだろう。ましては入社3日目、顔を付き合わせて3日目の人間に聞くべき話じゃない。流石に俺はキレ気味に
「それは仕事には関係のないことだし、それをあなたに話す義務もないし、そんな会話を赤の他人とするつもりは一切ない」
と断言した所
「コミュニケーションでしょ、会話でしょう、僕とコミュニケーション取るのが嫌なんですか?」(同上)
と来た。
思えばこの時点で「ああ、こいつ無理だわ」と結論づけて会話に壁を作って、引き継ぎ作業にかなりの悪影響を与えたことが今となっては分かるのだが、当時は香水の臭さとあいまってもはや近くにいるだけで文字通り頭痛を覚えたのは記憶に鮮明だ。
■人間落ちる所に落ちる
経歴だけ見れば大したものだった。業界では名が知られた会社を何社も経験していたし、資格欄にもカタカナと英文が踊っていたように記憶している。
一方、その会社は規模は小さく、給料は安く、将来性もない。俺はメンヘラで数社を転々とし「落ちる所まで落ちた」結果、入った会社だ。
なんで大手をやめてこんな所まで落ちてきたのかと経歴だけを見れば思うが、実物を見てみれば成る程「こんな会社まで落ちてくる訳だ」と納得する人間だった。
被った在籍期間は3週間程度だが、それでも「ああ、こいつは絶対に有り得ないわ」と思えるエピソードが他にも多数あった。
例えば、少し物言いがきつい先輩社員に小言を言われた直後、「社長に呼ばれたから作業に戻ります」と嘘をついて30分程姿をくらます等、細かい話をあげればまだまだあげられる。
そいつが普通じゃないことは明らかだが10社近くも経験しているなら、そいつなりには入社1ヶ月未満と言う自分の立場を弁えた上で、自分なりの「入社まもない転職組が取るべき当たり障りのない立ちふるまい」をしているはずだ。
3週間はまだその範囲内だろう。地が出てくる1ヶ月後、3ヶ月後、社内で起こすであろうトラブルは俺の想像の範疇を超えている。
そうやってどこに行ってもトラブルを起こし、社内での信頼や信用を失い続け、最終的に退職勧告を受けて辞めざるを得ないことを何度も繰り返してきたのだろうと俺は見ている。
ここまで来れば何らかの発達障害を疑い同情して勘案すべきってのが模範解答かも知れないが、それなら相応の診断を受けて、その前提で受け入れてくれる企業に行くべきだろう。
周りに通院を勧めてくれる人間がいないことは当人にとっても周りにとっても不幸なことかもしれないが、それは赤の他人が推測してやらなければいけない事案じゃない。
どれだけ立派な資格を取るだけの知力があっても、コミュニケーション能力がなければそれを生かすことはできないのだと生々しく実感した。
一方、少なくとも技術職に分類される社会人に求められるコミュニケーション能力と言うのは、巧みな会話スキルや時事ネタに通じている等ではなく、
・先輩や上司に当たる人間や会社の慣例を受け入れ自分の考えをすり合わせること
の二点程度で十分なのだとも思う。
顧客の要求を読み取り、技術的に実行の可否の判断や必要なスケジュールを弾くのはコミュニケーション能力でなく、技術職の「技術」の範疇に入ると俺は考える。
■辛い3週間だったが
同席した3週間はとにかく辛かったが反面教師として得るものは、皮肉なことだが1年程在籍したその会社の中で一番濃く実用性が高いものであったと思う。
引き継ぎは結局ろくにしないまま退職した。社会人としてそれは筋が通ってないと責められる点かも知れないが、それは本筋でないから触れる程度にしておくが、筋を通さないといけないような立派な会社ではなかったと言う点については明記しておく。ならば退職の意志を示してから2週間の猶予を持つと言う法律を最低限守っていれば責められる謂れはない。
新しい会社に入って1ヶ月をちょうど過ぎた。まだ試用期間ではあるが、直上の上司である社員からは「もうすっかり馴染んでるね」と評価を貰った。自身ひどいコミュ障である俺にとっては、これはかなり上々な評価といえる。
ていうかそいつ結婚してたの? すげえな