身を粉にし、身から出た粉をねりねりし、また人間の形に整えていた頃。そんな頃に。
「私、こどもできちゃったから、後の仕事はよろしくねー☆」と、先輩。
うおー。人間になれたのに、また粉にもどっちゃう。サラサラ風に流されて、ああ私は風になりたい。
乾いた砂漠に吹く、涼やかな一筋の風になりたい。
先輩は、会社の中で二番目に偉い。私は、先輩の下に付いていただけで下も下の下っ端。
5年目だけど、気持ちと技術は新人同然。ぼんやり暮らしてただけなのに、どどどどうする。
上昇志向なんてない。なぜなら漆黒企業なので。残業代でないし、住宅手当3000円だし。
なんだ3000円て。アナグマでももう少し良い家に住めるわ。
どうしよう、やりたくないな、胃が痛いな、本当に辛いのだけど
ゆとり世代なのでお得意のポーカーフェースが邪魔をして平気に見えるらしくて。
働かなきゃ食べていけないけど、働いても正直食べていけなくて、
(正確にはモヤシは毎日食べられる)違うお仕事を掛け持ちでしている今に
この申し出はやばいよね、という所存。
入社した時点で、君たちの代わりはいくらでもいるんだよと伝えてくれた
アヤナミみたいなカンパニーなので結婚したらスイッと会社辞めようと思ってたんだけど、
タイミング逃しちゃって、笑えばいいと思うよ。笑えねー。