働いていた零細企業のオーナーのおばさんが片手間に駆除業者をやっていて、本業が暇な時に手伝った。
シロアリ駆除をやるのに、免許とか資格とかいるかは知らないけど、オレの場合は特に講習とかなくて現場に行かされてその場で説明されて作業に入った。
駆除は、床下や天井裏に入って、シロアリがいそうなところにドリルで穴をあけて、薬を入れて木栓のフタをするって作業。
ドリルで穴を開けまくった後に「あんまり穴を開けすぎると強度が落ちるから適当にね」みたいな注意を受けたりした。
どのくらいの間隔で、どのくらいの深さの穴を開けるとか適当。
たぶんオーナーもカンでやってただろうから、聞いても仕方ないと思ったし。
はじめのうちははりきって沢山穴を開けてたけど、後半疲れてくるとまばらになったりしてた。
薬も、強力すぎて規制されて手に入らなくなったやつだけど、うちにはまだたくさん残ってるっていうのを自慢気に話していたのも覚えてる。
一緒に現場に言っていたバイト君なんか、オレと一緒にシロアリを始めて素人のはずなのに、客にシロアリや薬の事を質問されたらその道のプロのように堂々と説明していて「なんでそんなに知ってるの?」と聞いたら「知らないっす。適当に言ってるだけっす」と言ってフいた。
でかい高圧洗浄機みたいのでドリルで開けた穴に薬を入れていたけど、深さ数センチ程度の穴だから高圧である必要はない。
高圧洗浄機から長いホースを引きずって屋根裏や床下に入るのは大変だからオーナーに「これ100均のスプレーでやっていいですか?」と聞いたら、大袈裟な機械を使わないと客に舐められるからダメって言われた。