僕は親が嫌いだ。
だんだん父も、そして父への不満を僕に話す母も嫌になった。
おそらく僕は恵まれている。
だがわざわざ戦ってまで働く元気は無い。
父はとにかく自分が正しくて、自分の意に沿わないものは許せない人間だ。
気に入らないことをすると殴る蹴る。よく「態度が悪い」と言われた。
けれど外面は良いようで、携帯電話に電話が来ると随分と低姿勢だ。
とにかく危害を加えられないように、なるべく話さないようにしている。
父との外食も控えている。店員が気に入らないとすぐに店を出てしまう。
本当に、本当に嫌な気持ちになる。
母はたまに父の文句を言うが、聞くのは疲れたので無視している。
僕に言われてもどうしようもない。
さっさと離婚しなかったのが悪いと思う。
僕は高校のときに熱が続いたり腹痛を起こすようになったが、母は「心配をするのは止めた」と言った。
口だけでも心配してもらえていたら、こんなには嫌いにならなかったかもしれない。
最終的には、欠席の連絡を自分ですることになった。学校の事務が嫌いなのだと。
生徒が自分で欠席の電話をすると、不審なのか、家に居るのかとか親はとか訊かれて、僕も電話するのが嫌になった。
とりあえず登校して、途中で保健室に行き、熱と脈拍(徐脈の日もあれば頻脈の日もあった)のおかげで早退という日が多くなった。
(結局、大きな病院に通っても原因不明で、高校を卒業したら治った)
よく、ドラマの中には幸せな家庭がある。そんな作り話が小さい頃から、嫌いだ。
嘘だと思っていた。今でも信じられないようなところがある。
まったく「幸せな記憶」は無いけれど。僕は自分の家庭が幸せだとは考えられない。
とにかく父の機嫌を損ねないことだけが、僕の家で生きる術だ。
ネットで読むものの中には、家出や就職をして親から離れる話が見られる。
できるだけ早く父の顔色を見続ける生活を終えたいが、その為に自分の希望を諦めるつもりは無い。
僕が死にかけたことは2、3回しか無いのだから、そんなに急ぐことはない。
僕の望みは父の金を1円でも多く使ってから消えたい。これだけだ。
母が言うには、父は不倫をしているらしい。3人ほどと。
初めて聞いたとき正直、どうでも良いと思った。
生活費と学費さえあればあとは何をしていてもどうでも良い。好きにすれば良い。
どうやら父は僕が2歳くらいの頃にも不倫をしたことがあるとも言っていた。
こんな父と暮らすよりも、貧しくても幸せな家庭で育ちたかった。
離婚するのは好きにしてもらいたいし、できるだけ関わりたくないのだが、僕には沢山の本がありこれらをどうするかが1番の問題なのだ。
なるべく引越し先に持って行きたいが、全て入るだろうか。何冊諦めることになるのだろうか。悲しい。とても悲しい。
何か文句を言われた場合、弁護士を立てた方が良いのだろうか。祖父母に貰った幾らかの貯金はあるが、できるだけ使いたくない。
誰の機嫌を伺うことなく家で快適に過ごしたい。
友人呼んで遊びたい。