小さな店が並んでいる通りを歩いていると、ラーメン屋の前を通るときだけ、むっとするような、強烈な悪臭がすることがある。
麺を茹でるときの、かん水の臭いと、古い油の臭いが混ざったような臭いが、生温かい空気に乗って、店内から一日じゅう吹き出ている。
どの街を歩いても、一部のラーメン屋が、お決まりのように、このような悪臭を放っている。
パン屋の近くを歩いていて、こうばしいパンのにおいがしてくると、なんだか得をしたような気さえする。
いまはすっかり少なくなったけれども、うなぎ屋は店先で蒲焼きを作り、煙が店外に流れるようになっていた。これも宣伝効果抜群な、こうばしいにおいだと感じる。
だが、ラーメン屋の店先から流れてくる臭いは、たんなる悪臭でしかない。このような臭いを嗅がされて、およそラーメンを食べたい気にはならない。店の看板に使われている、男臭い毛筆のフォント、安っぽい什器とあわせて、この臭いは店の貧しさと頭の悪さを感じさせる効果しかない。
宣伝効果があるとは言いがたい臭いを店主はなぜ放っておくのだろう。
ラーヲタはおろか一般人も、ラーメン屋のこの悪臭が、いい臭いだという刷り込みを受けているのだろうか。臭いものは臭いと思うのだが。
一日中こんな悪臭を放つ店があったら、隣の店からは営業妨害で訴えられてもしょうがないような気もするのだが、ラーメン屋の悪臭だけは許されているように見えて、不思議でしょうがない。
*考えるに、ラーメン屋は狭小物件を使って比較的低コストで開店できるが、飲食店用の換気がしっかりしていない物件もあるので、キッチンの臭いが換気扇を通して店内から表通りへ流れる構造になっている場合があるのだろうか。
同意だなって思ったんだけど(特に豚骨)、豆腐屋もそこそこの悪臭な気がして、どっちも適度に許容してるんだなと思った。
ドーナツ屋もくさい気がする