2016-01-13

果物ナイフ

つきつけられたナイフの光る刃。脅迫と、怒鳴り声。振り回されるナイフ警察を呼んでと叫んでいる自分の声。それは私が殺される前の日のことだった。

刺されていればよかった。死んでいればよかった。そのまま女は刑務所の中。私はその後の更に酷い多くのものを見ないですんだ。死んでいればよかった。

ひどい腹痛。病院の診察室。知り合いらしい医師と話していた男の声。診察してくれた医師が飲んでいたお酒のにおい。真夜中の病院

切れ切れに浮かんでくる沢山の恐怖の中で、刺してやろうかと脅す女の声がまだ聞こえる。

私は自分に起きた事を拒否した。自分存在している事を拒否した。記憶ほとんどない。

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