2016-01-04

おとしだま

うちが貧乏だったので、おとしだまをもらった記憶がない。

この正月帰省したら75歳になる母親から

あんた、おとしだまもくれないのかい

と、いやみを言われた。

すでに痴呆症の父はその横で、

「ぴろーん、ぴろーん」と叫びながら、くるくる回っていた。

仕方なく、母に現金で1万円を渡し、これで父の好きなお寿司でもとってよと言った。

母は「すまないね」というのが早いか、手が早いか。さっと1万円を取った。

父は「ひぃー」と泣いた。

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