2015-12-30

一億総まとめサイト

2chまとめサイト黄金期は既に終わったとみて間違いないだろう。かつてのまとめサイト群は、2ch上のおびただしい量の言論切り貼りし、編集し、デコレーションすることで、「大衆に消費される」ことができるメディアとして完成させた。いわゆるネトウヨの隆盛も、まとめサイト存在無関係ではないだろう。

翻って今日、「ネット言論商品化」は新たなステージ突入している。今や大衆が「まとめサイト」の読者になったのである

例えば、「お笑いコンビの片割れ制服泥棒」というニュース。もちろん第一報は在京キー局新聞だ。当然、これらのニュースネットに波紋を呼び、Twitterで、2chで、様々な言葉が交わされる。「あいつ『覚醒』とか『フェラ』とかツイートしてるぞ」「芸歴より犯罪歴の方が長いのか」「相方可哀想」などなど…。その日のうちにはハイエナのようにネットニュース各社が記事を書く。「○○逮捕ネットの反応は」

さて、次の日のテレビワイドショーはどうだろう。警察の発表、プロダクション記者会見芸能界への影響ーそれらが語られた後、必ず来るのは「さて、ネット上では…」。もちろん、既にネット記事を見ている我々にとって、目新しい内容は何もない。それでも、視聴率漸減する中、若者への訴求力を高めたいテレビ局ネットに触れることを辞めることは出来ない。

これを見たお茶の間国民は、かつてまとめサイト暇つぶしをしていた中学生と同じく、なるほど、おもしれーなーとテレビの画面をダダ見だ。かくして、ネット上での一部の人間のおしゃべりは、「ネット意見」とタグ付けされて、立派に「世論」の仲間入りを果たす。なんと喜ばしいことではないか。ところが、ネットユーザーはそんな報道にも反論する。ここで我らが「はてな村」の登場である無責任にも他人言葉引用するだけで何も有益なことを伝えないメディアに憤る。「生い立ちが原因なのではないか」「被害者立場が置き去りにされている。芸能界女性軽視だ」

そうしたフィードバックもまた、PVを稼ぎたいネットメディアにとっては記事ネタだし、テレビにとっても新たな取材材料になるのだ。都合の良いところだけ切り貼りされ、名無しの烙印を押されて再びそれらは国民に消費される。

こういった、情報サーキュレーションは結局、ニート妄想を暇な中学生に伝播させたまとめサイト本質的には変わらないのだ。単に目立ちたいだけのネットユーザーの声を、社会の一側面として(しか自分には関係ないものとして)消費するお茶の間主婦彼女らはまだ、自分が大多数のネットユーザーー語る言葉を持たず刺激的な言葉を求めて検索を繰り返すーと変わらないことに気づいていない。

テレビネットマッチポンプは遂に、高度成長の予言一億総白痴化」を成し遂げた。

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