2015-12-24

榎本俊二先生おすすめ漫画ランキング

増田アドベントカレンダーもあと2日。

今日は、僕の敬愛する榎本俊二先生漫画についてランキング形式で書きます

本当はベスト100にしたかったんですが、全部で10コくらいしか作品が無かったのであきらめました。

5位 えの素

榎本先生代表であるえの素。全7巻

エログロ下ネタを煮込んで作ったプリンのような作品

あそこまで気軽に死んだり脱糞したり射精したり去勢したりする漫画はそうそうないだろう。

この順位に甘んじている要因として、ちょっとキャラクター性に頼ってしまっている、と言う点が挙げられる。

葛原さんとかすげぇ良いキャラだと思うんですよ。でもこの漫画萌えかいないじゃないですか

エログロ下ネタをディフォルメして描くことで逆にそれを感じさせない、という絶妙バランスで描かれていたのに、たまにちゃんとエロい、っていうのはよくないと思うんです。

キャラクターを好きになってしまうとこの漫画にもドハマりできると思うんですが、それは榎本先生漫画本質ではないような気がしてしまうんです。

4位 反逆ののろし

デビュー作の短編集。全1巻。

実験作品の集まりであり、一昔前の手塚作品すら思わせる。

特に最後の「風前の灯火ジョニー」は奇跡20世紀最高作品の1つと語られています。(僕の中で)

単調なコマ割り(4x4が並んでいるだけ)。シルエットだけのキャラクター。全てのコマがほぼ同じ構図。

はセリフだけでストーリーが進んでいるのか?というわけではない。

単調なコマ割りだからこそ生まれる単調なリズムによって生まれる「先読み」がゾワゾワとした恐れを生み、シルエットで単調な絵柄だからこそ怖い。

漫画しか表現できない恐怖がそこにある。

この作品は一度読んだだけだとちょっと怖いだけの話に見えますが、あの男がなぜあの行動をとったのか、さらFinの後なにをしていくのかを考えるとさらに恐怖が深まっていくことでしょう。

すごいとおもいました。

3位 火事場の馬鹿IQ

現在連載中の作品IKKIは無くなってしまいましたが、またどこかで連載が続くことを切望しております

今のところ2巻まで。

分かりやす面白い話、ばかばかしい話、意味が分からない話、怖い話、がごちゃごちゃになっています

最近榎本先生精神状態を表しているようで心配になります

怖い話に関しては、榎本先生どうしたの?って思うくらい、社会風刺的でわかりやす怖い話です。(携帯、もあみ

が、個人的には、あまり好きではないです。

他の作者の作品であれば、ふぅん、っていうくらいなんですが、榎本先生がわざわざこんなわかりやすい話を書いちゃうなんて!って思ってしまます

昔の榎本先生だったら、一度話を分解して、全てのパーツをちょっとずつゆがめて、無理やり組み立て直そうとしてぐちゃぐちゃになった状態にしてくれてたと思うんです。

イモ軍団パワーズのような意味が分からない系の話は、カオスストーリーの上に純粋な恐怖がそっと置いてある感じですごくいいです。

ルチンシリーズはただただばかばかしく、合間に読む分にはちょうどいいと思います。少しくらい風刺な要素があってもいいのにね。

と、様々な方向からアプローチを見せてくれる馬鹿IQ

更なる風景を見せてくれることを期待しています

2位 ゴールデンラッキー

初期連載作品4コマ愛蔵版で3巻。

初期は絵も安定しておらず、ちょっととっつきにくいところもありますが、週刊ギャグ4コマ作家が徐々にこなれていきつつ壊れていく様が垣間見え非常に楽しい

後半、キャラクターに頼ってしまっているところもありますが、何とかひねり出しているであろう4コマに底知れないモノを感じさせる。そんな感じです。

あと、最終回のもうどうでもいいや、っていう感じがすごい。でもその中でもルールを徹底していたりと、几帳面さがうかがえる。

どれだけナンセンスに見える作品でも、理詰めで作ってるんだろうなぁ、というのがわかります

1位 ムーたち

面白いとは何か」を考えすぎちゃって、いつのまにか「考えるとは何か」までたどり着き、面白いかどうかわからなくなってしまった系漫画

天才。全2巻。

主人公小学生ムー夫の日常的な疑問に対し、ミノル(父)や身の回りの人と話しながら考えていく、というような平和世界

が、疑問もそれに対する受け答えも常識的ではないが間違っていない、というギリギリを攻めていてスゴイ。

常識にとらわれず、作品の中のキャラクターの考えを理解することが出来れば、その深い世界観に感銘すること間違いなしでしょう。

エログロも無く、女性にも安心してオススメできます

そして、ストーリー面白さもさておき、絵の独特さもかなりのものです。

ミノルが出てくるコマに顕著なんですが、とにかくおかしい。パースがズレているとかそういうレベルではなく。

おそらく、常識無視しつつ、反面論理的である父親、という概念表現しているのでしょうか。

でも、気にならない。

ストーリーが会話メインで進んでいるというのも理由の1つかと思いますが、絵のおかしさがディフォルメのギリギリ許容できる範囲になっているのでしょう。

また、規理野くんが出てくるエピソードでは、ビッグデータとは何かという視点を非常に鋭く描いています

8年以上前の時点でここまでの考察をしているのは本当にすごい。

テーマ哲学的ものが多く、文化とは何か?科学とは?言葉とは?意識とは?1つ1つ、常識を疑っていく。

そんな漫画です。

総括

榎本先生作品は全体的にナンセンスに見えますが、SF思考実験に近いものもあり、組み立てられたものなのか完全なナンセンスなのか、深く考える楽しみがあります

その一番わかりやすモノがムーたち

解のない問いかけに対し、全てが組み立てられた世界が構築され、わかりやすく読み解くことができます

榎本先生作品には実はナンセンスものは1つもなく、全て組み立てられたものなのではないか、とすら想像してしまます

深い。シュルレアリスムにも通じるものがあると思います

特に榎本先生の描く「人間」は、マックス・エルンスト絵画にも非常によく似たものがあります

榎本先生が影響を受けたのか、あるいは偶然合致してしまったのか。

後者だとすると本当に奇跡である可能性があります

というわけで、この冬休みはみんな榎本先生作品シュルレアリスムしましょう。

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