自分が子供の頃、毎年クリスマスになるとサンタさんにプレゼントをお願いしていた。
しかし、その願いが叶うことは一度もなかった。
サンタさんは、子供たちにおもちゃを運んできてくれる存在だと思っていたけれど、ウチに来るサンタさんはそうではなかった。
クリスマスの朝、目が覚めると、枕元にあるのは、図鑑だったり、色鉛筆だったり、そういった実用的なものばかりだった。
なんでだろう。なぜ願いを叶えてはくれないのか。ウチに来るサンタさんは絶対におかしい。
どうしてもサンタさんに一言いいたくなって、ある年のクリスマスイブ、意を決して夜通し起きておくことにした。
すると、夜も更けた頃、ふすま一枚隔てた両親が寝ている部屋からアンアンという声が聞こえた。お母さんの声だ。