無職・北原みのる氏の週刊夕日連載「スッポンチンポッポNOW」。北原氏は、女優の宮崎あおいさんのような女性を待ち望んでいたという。
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友人の話。出張帰りに電車に乗った時のことだ。彼の後ろに制服姿の若い女数人が立った。学校の帰りらしく、声が大きく煩い。それだけならまだしも、「あの先生、マジキモイ~」などと言って盛り上がっていた。
夕刻の電車は、圧倒的に女子の空間だ。家事や子育てをすることもなく、時間を気にせずにおしゃべりしたり買い物できる人たちが、ただ寝るために家に帰る電車。男は少数派だ。友人は大きなカバンを抱えながら泣きたくなったという。「サラリーマンも周りにいたんだけど、みんな下をむいていた」
……その時である! 彼の目の前に向かい合うようにして立っていた女性がいた。身長163センチ、黒髪の似合う20代の女性だ。その彼女が彼のネクタイを「曲がっていますよ」とひょいと直し、彼に向かってこう言ったというのだ。
それは周りにもハッキリと聞こえるほど明瞭で、爽やかな声だった。そして、不思議なことが起きた。それまでさんざん下品な笑い声を立てていた女子たちが、すーっと声を潜めたのだ。
彼はそう言うのだが、私はにわかに信じられなかった。いや、彼の言ったことがではなく、そんな女性がいたことが、だ。
「ほんとなのか?あまりに辛い現実だったから蜃気楼でも見たんじゃないのか?」
私は何度も念を押した。そして確認した。
「宮崎あおいだったのかな……」
話は変わるが……というか、これが本当は最初から言いたかったのだが、宮崎あおいさんは、凄い。
先日、研ナオコさんのステージを見たのだけれど、研ナオコさんが「こんばんは、剛力彩芽です」と出てきて、驚いた。オリコンの「理想の娘」調査では、宮崎あおいが2位に入っていた。宮崎あおいの出演した朝ドラの視聴率は25%に迫るという。
なぜこれほどに、宮崎あおいに日本の男たちは熱狂しているのか。友人の話を聞きながら、ふと思った。もしかしたら、多くの男にとって宮崎あおいは、「ずっと待っていた人」だったのかもしれない。男をばかにする下品な女たちと対極にある清潔感、知性が作り上げたしなやかな振る舞い、「汚らわしさ」というものが一滴も感じられない高潔さ。
ここ数回、この社会が持つミサンドリーについて書いている。男として生きてるだけで、すり切れることが多い社会だ。そんな中、男が抱える重たい責任を思いやり、「頑張ってください」と声をかけられる女を、男たちがどれだけ待っているか。……と書きながら、私は宮崎あおいさんが、どんな人か全く知りません。ただ、宮崎あおいさんには、下品な女たちを存在で清めてくれそうな力があるのだと思う。そして「待ってたんです」と言いたくなるような、男の飢餓があるように思う。宮崎あおいさん、日本から出ていかないでほしいです……。
宮崎あおいってなんか凄いDQNと結婚してなかったっけ そういう汚れないイメージなん?
このパロディ(?)がどうでもいいくらい元ネタ文がパワー系キチガイだな 北原みのりはバックラッシュの原動力