2015-12-04

沈んだままの沈下橋

山中の小さな村で生まれた。

村には、川向こうの部落と行き来するための沈下橋がかけられていた。

大雨で川が増水すると、水面下に沈んでしまい渡れなくなってしまう。

水が引くまで川向うの部落の子はこちら側にある学校へ来る事もできない…なんて事もあった。

川向うの子はいいなあ、なんて呟いて母にゲンコを貰った事もあった。

5年生に上がる頃、はるか上の方で橋の工事が始まった。

上の方に橋をかけてどうするんだろ?でもあれなら沈まないな。なんて友達と言い合った。

獣道を登って工事現場を見下ろせるところまで行って、重々しく動く重機を日が暮れるまで眺めていた事もあった。

そのうちに親から村がダムの底に沈むという事を聞かされた。

水が貯まってからダムを一度だけ見に行った。

ああ、あすこに橋があるなと思った。湖底の様子なんて見える訳もないのだが、目の前に村の様子が浮かび上がった。

だけども、もうあの沈下橋は沈んだままなのだと、少し寂しくなったのを憶えている。

いやいやいやそんな嘘思い出を捏造して浸っている場合ではない。

目の前には嘘でもなんでもない、何度水を流しても流れぬウンコ橋がかかっているのだから

この記事増田クソベントカレンダー4日目の記事です。

  • 以前、このような日記を書いたところ、watto氏より「捏造でしょ」とのブコメを頂戴した。 今日、再び橋が架かった。

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