雨の日に銀座の松屋へ買い物に行った。
夜が増す時間に、通りが色を失わないのは
すれ違う人が差す傘がカラフルだからだ。
地元の埼玉なら、透明か白の脱色したような百均傘で街は溢れているから
この光景にはならないだろう。
ショーケースの自分の姿を見て、スーツの膝あたりがよく光るのに自然と目が行った。
安い化繊製を履き続けると、自然と擦り切れて光沢を放ち出すのだ。
そう気付いて、ひどく居た堪れない気持ちになった。
色が付いた傘なんかにお金を出す余裕もないくせに、ここにいていいのかな。
肩を自然と竦めながら早足で有楽町まで歩いた。
線路下のカレー屋ふくいちに入る。
外人の店員さんに声を掛けられて、自然と押し殺していた息を吐いた。
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