2015-08-28

議員セクシャリティ暴露世間狭間にあるもの

自民党のM議員スキャンダラスな内容の記事話題となった。

M議員といえば、安保関連法に反対する学生団体SEALDSに対してTwitterに書いた内容が物議を醸し出し、また未公開株の不透明なやりとりが発覚して、所属していた自民党を離党した矢先だった。

個人的なところで、M議員政治家としての資質に対して懐疑的であり、感情的にも嫌いではあったけれど、しかし今回の暴露記事を目にした際には、そういう個人に対する評価感情を越えて、胸につっかえる感覚を抱いていた。それで、ボヤっと1日考えていたわけだけど、それが何なのかが少しずつ溶解してきたので、書き留めておこうと思った。

今回の記事では、M議員は19歳の男性ゲイ向けの出会い系サイトで知り合い、金銭の受け渡しを伴う性的関係複数回持ったということが、LINEスクリーンショット画像と「売春」という言葉ともに公開されている。

日本法律と照らしあわせてみていくと、先ず同性間において金銭や報酬の受け渡しをともなった性的関係を罰する法律はなく、これは売春にあたらない。

相手が19歳という年齢に関しても、18歳以上であるので法的に問題がない。

にも関わらず、「19歳の男性を“買春”していた」というセンセーショナル言葉を使ったわけだ。

これはつまり法的には完全に無罪ではあるのに、M議員が「ゲイであること、そして男性性的関係を持っていることをセンセーショナルに公にすること自体目的記事と言える。

個人のセクシャリティというのは、プライバシーでもあり、そしてとても繊細な情報でもある。

近年ではLGBTという言葉認知も広がり、多様な性のあり方があるということが社会に浸透してきているとはいえ、まだまだ性的少数者に対する偏見差別があるのは否めない状況下でもあり、ましてやプライバシー侵害という点で、第三者が個人のセクシャリティを本人の断りもなく勝手に公開していいというのは余りにも身勝手で酷い話では無いのか。それがたとえ公人であるとしてもだ。

そして、この記事SNSニュースを通して大きな話題となった。

私の元にも多方面から記事シェアが回ってくる。

この記事がこのようにセンセーショナルに扱われるというところには、この社会の中にある性的少数者への眼差し本音が現れ出ている。

記事を書く側が、受け手であるこの社会の少なからぬ人が、M議員が「ゲイであることに対して、冷笑と侮蔑を突き刺したのだ。

セクシャリティ世間狭間にあるモノがここに露わになったのだ。

4月電通ダイバーシティラボが「LGBT調査 2015」を実施した。

http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2015041-0423%2B.pdf

それによると、国内LGBT層に該当する人は 7.6%と算出された。人口でいうと約900万人前後といったところ。

もちろん、約900万人の全てがカミングアウトして生活しているわけではない。

偏見差別を恐れ、自分セクシャリティを隠しながら生きている人も多数存在している。

そういう社会の中で、M議員が、その”人”が、ゲイであることを晒したうえ、それをネタにして記事にしたのだ。

ゲイ話題が取れるネタになるということを改めて世間に知らしめたのだ。

この社会構成する人たちがその記事を見て、冷笑と侮蔑を突き刺したのだ。

自分セクシャリティを隠しながら生きている人達はこの状況に何を感じたのだろう。

自分セクシャリティと周囲との関係性に悩んでいる思春期の子たちは、この風潮に何を感じたのだろう。

自分セクシャリティを公にしたとき得ることになる反応を、この記事の中に見ているのかもしれない。

実は、私も性的少数者の1人であるLGBTでいうなら、Tである

性別を変えたのち、現在は変更後の性でノンカムのままフリーランス仕事大学講師を掛け持って暮らしている。

これまでの私の人生においても、過去を知る知人によって私がトランスセクシャルである第三者勝手暴露されて、好奇の視線を浴び、侮蔑され、差別され、そんな悲しい思いをしたことは数知れない。

そのような経験を内に秘めて生きてきて、この記事を目の当たりにした。

今はただ、悲しく虚しい思いだけが記事を前にしてポツリと佇んでいる。

追記:

私の友人たち(大半はヘテロセクシャル)は、彼がゲイであることは切り離して、議員としての自覚や言動、資質について書いている人が多かったことは救いです。

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