2015-07-17

メニューがあるようでないレストラン

「……どうも」

「いらっしゃい、今日はC級グルメフェアです」

「C級……B級じゃなくて?」

はいエメリッヒ版『GODZILLA』」

「な……」

「どんどんいきましょう、『バットマンロビン』」

「おい……」

アニメ艦これ」」

「あのさ」

「?」

「『GODZILLA』は怪獣パニック映画としてみれば及第点だし、興行的には成功している。それにゴジラ映画もっと酷い出来のものがある。」

しかし、国外から高級な食材を輸入して、手間ひまとお金をかけてできたものが、何とか食べられるものでは示しがつきませんよ。興行的に成功だなんて、なんのフォローにもなっていません。エメリッヒお金かけて誤魔化していますが、色々と粗の多い映画を作ってきた実績がありますからね。有名な批評家にも度々こき下ろされていましたし」

「まあ、その有名な映画批評家そっくりさんを『GODZILLA』にあてつけで登場させて、後に批評家本人に『わざわざ登場させるんだったら、僕たちをゴジラに踏み潰させるくらいしろ』と言われるエピソードもあったが。それは映画のものの出来とは関係ないだろ」

「『バットマンロビン』も低俗コメディ映画になってしまって。とあるインタビュー出演者が苦言を呈したり、監督謝罪したり、この作品の与えた影響はすさまじいですね。」

テレビドラマシリーズのノリを受け継いだコメディとしてみれば問題ない」

「私もテレビドラマので育ったクチですが、あれは時代に沿ったカジュアルな売り込みと見れるのに対し、これはダークな世界観が求められていた時代に出てきたものですからね。同列に扱っちゃいけませんよ」

「駄作の範囲内かもしれないが、蛇蝎のごとく嫌わなくたっていいだろう。『艦これだってお酒飲みながらキャラの可愛さだけ見るように努めれば問題ない。ファンが多くて二次創作が盛んなジャンルなんだ。皆の求める『最高の艦これ』なんて物理的に無理なんだよ」

「私の好きなキャラ途中で死んじゃったんですよね。知り合いの好きなキャラは登場すらしませんでした。皆とまではいいませんが、いったい誰が求める『艦これ』だったんでしょうかね」

「昔の戦争を題材にしているんだから、死の描写だってあるだろ。キャラクターが多いんだから、全部だしてもいられない」

「はは~ん、お客さん。『アナ雪』とかの名作にも『そこまでよくない』とか言う人でしょ?」

「は?」

「いるんですよね~、賞賛、あるいは非難の声が大きすぎると、『そこまでじゃないよ』ってしゃしゃりでてくる人」

「……」

「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい。ちゃんとお客さんの言うものもありますからはい、『コマンドー』。吹き替え翻訳は、意訳がすさまじくて。原文みたらめちゃくちゃで」

「今すぐ殺してやろうか」

「失礼、シュワちゃんがでているので間違えました。これこれ、『レッドソニア』です。世界観無視してロボットが出てくるのは笑いましたね」

「……まあ、出演したシュワちゃん自身もその映画ディスってるけどさ」

「お気に召さない? ではシュワちゃん妊娠するというコンセプトだけは面白いジュニアはいかがでしょう?」

「一応、妊婦ドキュメンタリーものとしてみた場合は真面目な作りなので非難しづらい。というか、さっきからシュワちゃん出演ばかりなんだが」

日本人の方は吹き替えばかりで馴染みがないかもしれませんが、シュワちゃん本人は演技がうまい方ではないですから。それでも好きですが」

「そういえるなら、作品にもその心で観てやれないのか」

「いや~、そこまで受け入れたら食中毒おこしますよ。」

「それをいまオレの目の前に出すあんたは何なんだ」

「要は食べ方しだいですよ。はい、『スーパーマン4』。4作目なのに映像演出の使いまわし、めちゃくちゃな設定、低クオリティ話題に」

予算がなかったんだよ!」

予算を集めることも映画つくりのひとつですよ。まあめちゃくちゃな設定は最初シリーズからでしたが」

地球を逆回転させてタイムスリップし、2つのミサイルを両方とめるやつか? スーパーマンからいいんだよ。変にリアルにすると、ダークナイトみたいに片方だけ助けるという悲しみを生むんだ」

「おや、また良作反抗期ですかい。仕方ないですね……はい、どうぞ」

「……『タイタニック』? これ名作だろ」

「いえ、タイタニック事件を題材にしたアニメLa leggenda del Titanic』です」

こうして今日も夜が更けていく。

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