2015-06-27

僕の彼女露出狂

彼女はいつも遠まわしにツイッターに書く。

「はあ、またゲームばかり」

ウイニングイレブンプレイしながら合間に携帯ツイッターを覗いた僕の手は止まった。またこれか。

彼女は言いたいことを直接言わない。なぜか遠まわしにツイッターを経由して言うのだ。

ゲームばかりで私に構ってくれない、どうして?そう言いたいのだろう。けれども、直接は言ってこない。

「いつも返事が遅いのは私のことなんてどうでもいいから?」

そんな言葉彼女ツイッター投稿される。

こういった発言の一番卑怯なところは、どうにも返答しようがないという点だ。

「返事が遅くてごめんね。やっぱ会議中とか携帯見れないからね」

と返答すれば済む話だが、それも変な話なのだ彼女ツイッター発言に返信したり、あるいは直接返答をしてはいけないのだ。

この種の彼女発言は、あくまで僕が見ていない、見れていない、という前提で成り立っているのだ。見ているのは知っている。けれどもその建前なのだ。僕に言ってるんじゃない、中空に言ってる体裁に近い。それに返答するのはおかしい話、そんな暗黙の了解が成り立っている。

別に返答したところで彼女拒否するわけではないだろう。ただ、自分の満足する返答でなかった場合、「そういうつもりではなかった」という逃げ道を準備しているのだ。

「ごめんね、仕事から

そう言えば、彼女

「うん、わかってるよ、仕事から仕方ないよね」

とでも理解ある彼女演出するだろう。「いつも返事が遅いのは私のことなんてどうでもいいから?」なんて発言は、別に構って欲しがりの面倒な彼女みたいな発言ではない、別のものに向けた発言だという顔をするだろう。

仕事から仕方ねえだろ!ふざけんな!」

ありえないが、烈火の如く怒ったらだどうだろう。決定的に破綻するまで怒ったとしたら、彼女も開き直って。

別にあなたに向けた発言ではない」

というだろう。大道芸を見るとき自然形成される人垣。その少し離れた場所にできる人垣的な距離感立ち位置でいくつもの逃げ道を用意しているのだ。なんにせよ彼女発言卑怯だ。

それに、矛盾しているかもしれないが、本質的にはこれらの発言は僕に向けているわけではないのだ。

「はあ、今日ドタキャンです。仕事から仕方ないけどね。夜景が見えるレストランはおあずけ」

あのときは本当に申し訳ないことをした。でも、この彼女ツイッターからは様々な物が見え隠れしている。

まず、彼女ツイッターで「彼氏がいる」とは宣言していない。どうやらわざわざそんな宣言をするのは恥ずかしいようだ。けれども、周囲にはそうアピールしたいようで、こういった思わせぶりな発言が多い。

この発言だって、まず彼氏存在彼女の231人いるフォロワーに仄めかす意図が介在している。

そしてその彼氏仕事が忙しいほどのエリートである可能性を匂わせ、夜景が見えるレストランデートする充実っぷりを香り立たせ、それでも仕方ないと納得する理解ある慎ましい一途な彼女としての立場アピールするのだ。

僕はこういった彼女ツイートを「露出狂ツイート」と呼んでいる。とにかくアピールしたくて仕方がないのだ。とにかく231人に勘ぐって欲しいのだ。彼女のことは好きだが、これら露出狂ツイートにはイライラして仕方がない。

一度そう思ってしまうと、彼女ツイート全てが露出狂ツイートに思えてくる。

今日は帰りに図書館に寄って帰ろう」

文学的可憐少女であるアピールしている。実際には何も借りてない、本も読まない。村上春樹だって1/3くらいよんで本棚に投げっぱなしだ。

雑貨屋さんで見つけた小さなウサギの置物。癒されるー!」

さなものが好きなカワイイアピール。そんな小物の癒しマッチするオシャレな部屋アピール。実際には散らかっていることが多い。鏡の後ろに落としたツケマが見つからないくらい乱雑なことも。

今日カフェハナちゃん女子トーク!もりあがったー!」

仲の良い女友達もいるアピール。同性にもちゃんと好かれているアピール。実際には別の友達にはハナちゃんの悪口を言っている。

今日ママから手紙着てた。懐かしくて涙出ちゃったよ。実家にもずいぶん帰ってないなあ」

親思いアピール。そんな郵便物は届いてない。親との仲もそんなに良くない。

最近ストーカーに狙われて困ってます。怖いよ。警察とかに相談したほうがいいのかな」

ストーカーに狙われるほどモテるいい女アピール

「怖いよう、どうしよう」

か弱き女アピール。怪しいやつはブロックすれば済む話、そう言ってるのにアピールは止まらない。

「うん、マサトに相談したら変な人はブロックしたほうがいいっていわれた。怖いもんね。マサトありがとー」

頼れる彼氏、的確なアドバイス、こんなにも周りに恵まれてるんです、私。

もう彼女は完全に露出狂だ。

ネット上の理想自分現実とのギャップ無視し、極度に理想の部分をアピールする。それは普段はトレンチコートを着てて、すれ違いざまにババッとやる露出狂とそんなに変わらない。

けれども彼女気持ちも分かるんだ。インターネットSNSをやる目的なんて、アピールしかない。アピールしてなんぼだろ。偽りの理想自分アピールするだけだ。直接的にやると下品から遠まわしにやる。それだけだよ。

から僕もツイッターで遠まわしにアピールする。

大丈夫かなあ。心配だな。ストーカーとかまじ心配仕事が忙しくてなかなか会えないけど、なんとか時間作って会えるようにしないとね」

そうツイートする。彼女に向けて、僕のフォロワーに向けて。僕だって露出狂だ。

でもきっと、彼女には届かないんだろうな。仕方ないからツイッターアカウントログアウトして、また今日彼女ツイートを見に行くんだ。今日はどんな露出をしてるのだろうかと。

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