2015-05-13

先週、彼女と別れた。

彼女精神的に弱いヒステリー持ちだった。

普段するなんとない会話で楽しく笑っていたかと思えば、ふとした言葉に引っかかって急に表情を暗くしたり怒り出したり、最終的には泣いたりする感情の起伏がジェットコースターのような人間だった。

とにかく言葉の中に地雷が多い。カンボジアも驚きの地雷である

その日も家で何の話をしていたか全く覚えていないくらい何のとりとめもない話をした後、ふとリストカットの話になった。

どうやら彼女は、リストカットをするくらい追い詰められたことがあるけれど、結局怖くてできなかったらしい。

僕はというと、リストカットをしたこともなけば、しようと思ったこともない。

ぶっ殺してやりてえとは良く思う。

予備校時代、両腕とも手首から肩にかけて何重にも切り刻まれゴスロリ少女がいた。

その傷を見るたび、僕はポルナレフに切り刻まれ呪いのデーボを思い出した。

別にそのゴスロリちゃんと話したこともないので、実際になぜそんな傷を負ったのかは僕の勝手偏見しかなく、何か不幸な事故なのかもしれないし、そういうDVを受けたのかもしれないし、義勇兵時代アフガンイスラム兵に仲間のことを尋問された際、固く口を閉ざして負った名誉の負傷かもしれない。

彼女のその傷についての興味は、勉強漬けの退屈な毎日の中ではそれなりに興味をひかれるものがあったが、もし僕の想像通りに自分で切っていたとしたら、理解ができないし頭がおかしい。僕は密かな関心を寄せながらも危険を感じて近づくことはなかった。

そんな話をしたら、彼女の態度が急変した。

どうやら僕は地雷を踏んでしまったらしい。

「それって、私の友達が頭おかしいっていうの!?

僕は頭が真っ白になった。

「え、そんなこと言ってないじゃん」

言いつつ、僕は彼女リストカットを得意とするメンヘラ仲間がいるのだと察した。

「言ったじゃん、リストカットをする人は頭がおかしいって!」

「いや、まあ……でも、おかしいでしょ?」

「その子だって、家庭の事ですっごく悩んで、いっぱい苦しんでそうするしかなかったのに。それを頭おかしいってひとくくりにしないで!」

知らねえよそんなこと。

話を聞いてみると、その子は両親が離婚の危機に瀕し、祖母は癌になり、部活では吹奏楽で厳しい先生毎日のようにお前だけリズムが合わないと怒られ、それを誰にも言えず最終的に手首を切ったというのだ。

僕もまあそこそこに悲しい過去はあるし、これ以上に悲惨過去を持つ人なんて周りにはいくらでもいる。みんな前向きというわけではないけど、手首は切っちゃいない。

それくらいの事で手首を切るのは普通じゃない

そもそも、リストカットなんて死ぬ死ぬ詐欺で、死ぬ気がない。楽に死にたいなら練炭。苦しんででも世に訴えたいことがあるなら焼身。古式では陰腹を切って嘆願と相場は決まっている。

恐らく何の考えもなしに衝動でやってるんだろうけど、思考放棄しかない。言えないからリストカットで苦しみをわかってほしいとか、どれだけ非効率なんだよ。

もっと他に手は思いつかないのか。いくらでもあるだろ。

そんなことを言った僕に彼女は、それは僕のメンタルが強いから理解できないのだ言う。

確かに僕は我慢して我慢した結果、心が辛くはなるけど壊れてしまうということを経験したことがない。たばこもしばらく吸ってみたけど依存はしなかったし、酒にも彼女にも依存したことはない。

オナ禁半年以上平気で続くし、ダイエット目標値まできっちり継続してできる。

から弱い人の気持ち理解できないのだという。

そうかもしれない。

それどころか、なぜ僕が弱い人間ことなんか理解してやんなくちゃいけないんだ、強くなるサポートならいくらでもしてあげようとは思うけど、メンタルだか何だか知らないけれど、弱いのを良いことに理解してあげてとかなんか違うんじゃないのって思ってしまう。

僕はおもむろに洗面台へ向かい、カミソリを取り出して、刃を左の手首に当ててみた。

切る気はない。何か理解できるのかと思ったのだ。

絶対切らないと思いつつ、一瞬だけ「切る、切る、切ったらどうなる?切ってみるか?いける、僕ならいける!」覚悟のようなものをしてみる。

とたん、妙な緊張感に襲われた。

ネクストバッターサークルに座っている時に感じるような心臓の高鳴る緊張感ではない。

心拍数はそのままに、呼吸だけが浅くなっていくのを感じた。

たぶん血の気が引くっていうのだろう。

切ったら血があふれること、絶対に痛いだろうということ、この部分を傷つけることによってその後の人生で僕が受けるであろう好奇の視線

そう、僕がゴスロリに向けたあの目だ。

「ああ、窓ガラスを割っちゃってその時に」

問われたら僕は咄嗟に嘘をつくのだろうか?

切ったことを想像して、ほんの一瞬の間にみるみる妄想が広がっていった。

「何やってんの!」

けがからないという顔をする、彼女

「手首にあててみて思ったけど、こんなことするやつ、やっぱりまともじゃねえ」

みるみる顔を真っ赤にして、帰り支度をする彼女

ここで僕が折れて、速足で逃げていく彼女を追いかけ「まあ人にはいろいろあるよ。人生それぞれだしね。わかってあげられなかった僕がわるかったよ。ごめんね」

なんて適当なことを言って仲直りをするのが恒例だ。

でも、もう僕は追いかけなかった。

「……やっぱ、まともじゃねえよ」

玄関を出る彼女背中に向けて投げつけるように、僕はもう一度つぶやいた。

  • 頑張って書いたんだねって感じだな。 口に入れた瞬間の香りから味が来るかなと期待して噛んだら何も味がせずそのまま収束したみたいな感じの内容。 創作でないとしてレスをするなら...

  • 創作の「ぼく」として才能無さすぎ

  • とりあえずこれ貼っとこう。 松本俊彦さん 「自傷」患者への助言(1)なぜ自分を傷つける? : こころ元気塾 : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞) http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=118116&amp...

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