2015-04-15

職場トイレうんこするのやめてほしい

ダダ

おっさんがダッシュで入ってくる。

おれは小便器の前でチャックを開けながら、うっせえおっさんだなと思って振り向くが、おっさん残像が見えたと思ったらすでにおっさんの姿はそこになく、

ガンッ カシャ

という大きな音とともにおれは斜め後方の個室のドアが閉まったのに気づいたのだった。

つづいておっさんが個室のなかでベルトをはずしている音が聞こえてくる。

ジャラジャラいう不快金属音がトイレのなかにひびく。

おっさんは焦っていてなかなかベルトをうまくはずすことができない。

「チッ!」

おっさんは舌打ちする。ちいさい子供のようにドタバタ足踏みしているのが聞こえてくる。

すこし待っておれはおっさんベルトをはずせたのを察すると安心してチャックを下ろすことにした。

おれは手を股間にしのばせ、さあ用を足そうとするのだが、そのときおっさん妨害が入る。

「アアッ! フンッ!」

おれは斜め後方の気合にびびって手を止める。

おっさんは気を溜めだした。

「フーン、フーン、フーン」

なんかやばそうだ。

おれははやく用を足してこの場を去らなければならない。

だが斜め後方のパワーに圧倒されてうまくエクスカリバーを持つことができない。

ブリブリッ、ビュー、ブリッ」

は、はじまってしまった。

もうだめだ。この世の終わりだ。はやく用を足してこの場を去らなければ。

だがおれの意識はもうべつのところにある。

おれの意識は斜め後方に釘付けにされていて、わがエクスカリバー命令を出すことができない。

ぶらんと垂れ下がるわがエクスカリバー。行動不能に追い込まれている。

ブリブリッ、ブ、ブリー。ンアッ! フンッ! ブリー………………。はあ……。んはあ……」

い、いったい何が起こっているんだ。

おれはどうしたらいいかわからない。はやく用を足して逃げなければ。

おれは意を決してエクスカリバーを握った。だが次の瞬間、おれは岩のようになってしまう。

「ふーう。いっぱい出た」

ジャジャ

水が流れる。

おっさんうんこをすることだけに集中していた。それはとても純粋で無垢で尊い行為なのであった。

おれはおっさんが立ち去るのを背後に感じた。

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