エドの映画では、1カットの撮影は1回だけ。たとえ昼夜の辻褄が合わなくても、セットや演技がいい加減でも、そんなことは気にしなかったんだ。エドは時間を大切にしながらきびきびと生活していたんだよ。
エドが作っていたのは、見事なほどお金をかけない、循環型エコ映画だったんだ。だから、ひとつの映像をかけがえのないものとして大切に使い回していたんだ。お金が足りなくても映画を作ってしまう、エドらしいしぐさたね。
落ちぶれたかつての名優と友情をはぐくみ、自らの映画に起用する……エドにはそんな先人への敬意と気遣いはあたりまえだったんだ。だから、主演のはずの名優が途中で亡くなっても『Plan 9 from Outer Space』をがんばって完成させたんだ。
どんな相手も敬うのがエドのしぐさの基本だよ。相手が亡くなった人だったらなおのこと。そんなエドの死者への敬意は、死霊という設定の女性たちが衣装を着ないで踊るだけの映画を生み出したんだ。今では唯一無二の映画として伝説の作品になっているよ。