おばあちゃんとは血のつながりがない。
だけどひょんな事からおばあちゃんと私の母は出会い、生まれて間もない私を実の孫のように溺愛してくれた。
父と母がフルタイムで働いている間におばあちゃんが朝から晩まで、親が迎えに来るまで面倒をみてくれるという非常に特殊な育ち方をした。
その大恩あるおばあちゃんは亡くなった。初めて身体が分裂するくらい泣いた。
おばあちゃんの息子の嫁が殺した。
この嫁が最悪だった。
おばあちゃんに対して横柄な態度をとり、孫に会いたがっているおばあちゃんに金をたくさん使わせるよう仕向けた。おばあちゃんが金を出さないと一切孫を連れてこない。おばあちゃんは透析によって身体が段々と衰え、年を取るごとに気弱になっていったため、強く出られず嫁にいいように利用されていた。孫に会えない、会いたいなあと独りでぽつりと悲しそうに言うおばあちゃんの顔なんて見たくなかった。もうこの時点で嫁が嫌いだった。
さらにその嫁はバツイチなのだが、前夫を高圧的な態度と我儘によって結婚中に鬱病にさせ、仕事を失わせた挙句離婚したという前科がある。
そしてついに、嫁はおばあちゃんの息子と喧嘩して、怒りに任せて息子の髪の毛をバリカンでめちゃくちゃにした。
あろうことかその嫁はひどい髪になった息子を写メっておばあちゃんに送りつけたのだ。
息子を愛していたおばあちゃんは大きくショックを受けてその日に倒れ、それからずっとふさぎこんだ。あんなに元気だった姿なんかもうどこにもなかった。それからはずっと入院していた。
嫁はおばあちゃんの息子も孫も病院に行くのを許さなかったし、1度もお見舞いに行かなかった。
それからずっとおばあちゃんの妹さんが看病した。
嫁は親の死に目にすら会わせなかったのだ。
読んでくれるとよく分かるけど、嫁も息子も糞馬鹿だった。嫁の制止くらい振りほどいてでも親の死に目には会いに行けと。お見舞いに行けと。息子とおばあちゃんにはなんの確執もなかったのにどうしてこんな仕打ちができるんだ。
だけど嫁がバリカン事件を起こさなければ、あんな急にいなくなってしまうことはなかった。
あいつがおばあちゃんを殺した。