2014-11-02

http://anond.hatelabo.jp/20141101231917

うーん、大体あってるけど、原因というか構造が分かってない気がする。

軽く業界全体をまとめておく。

現状、声優界は完全な供給過剰。声優という肩書き持ってる人は1500人とも3000人とも言われるが、専業で食ってる人はせいぜい1割というのが定説

一方、毎年専門学校養成所に入ってくる声優志願者は毎年6000名を超える。学校養成所は増える一方。それ自体が一大産業になっているので止められない。

入れるだけ入れて絶対に声優になれないダメ学校ごろごろしてるが、一応事務所と繋がってる養成所はそういう訳にもいかないので、何人かは新人契約する。そうでないと養成所に入ってくる人がいなくなって、立ちゆかなくなる。これを「養成ビジネス」とか言って批判する人も多いが、あえて言っても必要悪に過ぎない。

とにかく競争は厳しいけれども、一応は事務所との契約まで行ける人も、年間100人以上はいる。

ところが声の衰えは容姿の衰えよりもよっぽど遅い。吹き替え声優第一号の滝口順平さんが亡くなったのはわずか3年前で実働55年間。今年亡くなった永井一郎さんも実働50年(俳優として働いてた期間入れるともっと長い)。

このあたりの大御所は別格と考えても、生涯現役のまま亡くなった人は他にもいくらでもいる。さっきの人数と稼働期間を考えると、辻褄が合わない。

結局、役者として一応の能力を身につけるには、才能ある優秀な人間でも3年から5年の訓練が最低でも必要、というのがプロ評価専門学校は2年だし、大抵の養成所も基礎と応用の2年制。青二塾に至っては1年間。必要な訓練期間に足りてない。

現状、事務所新人声優契約するというのは

「まだ一人前のプロ役者としてやっていくだけの演技力は身についていないが、本人の能力姿勢を考えれば、この後現場経験を積んで研鑽を怠らなければなんとかなる、と現時点では判定しました」

というだけの話。ギャラが安いジュニアランク時代、30分アニメ一本1万5千円の時期が2~3年あるので、言うなればその期間が見習い期間。

さて、ジュニアランク声優とはギャラが安い以外にどういう特徴があるか? そう、「若い」ということ。

若くて演技力はいまいちだけど安い役者をどう使うのがいいか、といえば、顔出し前提の深夜アニメが一番使いやすい、ということになる。安いし他の仕事も大してないから、いろんなイベントに引っ張り出したりウェブラジオで無茶ぶり企画やらせたり、そういうアイドル売りがやりやすい。

こうやって「大きなお友達のファン」を獲得するか、演技力が伸びたり当たり役を掴んだりして業界内で一定の評価を得るか、うっかり歌唱力評価されてCDリリースできるようになるか、そういう「何か」が獲得できれば事務所の方でも「じゃあジュニアランク終わっても生き残れそうだな」と判断できる。

元増田が「確変」と呼んでる現象はその中の極端な成功例で、ギャラが安いうちにどんどん使っておこうと引っ張りだこになっている現象

逆にジュニアランク期間が終わっても(あるいは終わる前でも)見込みがないようならば事務所容赦なく新人との契約を切る。見込みがないなら早期にそう告げる方が、本人の第二の人生のためでもある。

結果、ジュニアランクが終わるまでに、新人声優の半分は消える。劇団だか三流事務所だか何だか分かんないところにしがみついて業界に残ろうとする人も多いが、アニメ声優としてはほぼこの時点でゲームオーバーである

他、ジュニアランク期間では引っ張りだこでも、ランクが付いた途端に仕事が激減して「あの人は今」状態になる人もそれなりに出る。

さて吹き替えの話。アニメ制作本数が多いので新人どんどん使えるが、吹き替えはそうじゃない。もともと予算の考え方も違うし、芝居の性質上、顔出しの仕事やってる俳優がこなす率も低くないし、長期の仕事も多い。そしてFIXと呼ばれる「この俳優にはこの声優さん」みたいな関係性もあったりして、アニメのような若手新人が主役に抜擢、なんて現象は起きにくい。

結果、声優界の中でも、吹き替え声優が一番なるのが難しい少人数な世界になっている。吹き替え向けのコースを持ってる養成所はあることはあるが、そこから物になる人は年に1人出るかどうか。

だいたい、どの事務所でも「元若手声優はいくらでもいて、そういう人は吹き替えに潜り込めないか虎視眈々と狙っている。ぽっと出の新人演技力で対抗できる相手ではない。

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返信の返信。

それなら最初の三行も要らない。一行で済む。

吹き替え声優は裏方だが、深夜アニメ声優は裏方ではない」

で終わり。

深夜アニメ予算が安い。ジュニアを使えば安くなる声優のギャラとか最優先のカット対象。そして円盤やその他の細かい収入に頼るしかないから声優ドル売りすることで作品露出を少しでも増やせるようにしつつ、細かい儲け口を少しでも増やして稼ぐ機会を増やそうとしてる。そういう努力の積み重ねで、現今の狂った制作本数が維持できている。

吹き替えはそういう世界ではない。

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