2014-10-23

チェック柄のスカートを履いた女の子階段の前を登っていたので

心持ち目線を上に上げていったら、黒光りする楽器ハードケースに写る自分と目が合った。

ネクタイちょっとズレていたので、直してみる。

ついでに前髪に手櫛を入れると酒席の熱気で歪んだ髪型が元に戻った。

さらもみあげから生える白髪の一本を抜こうとしたときにふと姿が消えた。

階段を登りきってしまったのだ。思わず声が出た。

革靴から伸びるニーソックスラインに、ほっそりとした健全な足が徐々に押し開かれていく姿を想像したり、

ポンデライオンシャンプーハットを重ねたように纏められた髪の後ろ毛に髪を直すときの無防備な脇の下を想像したり、

今日の帰り道は色々な人にお世話になってきたが、全ては片道の感謝だったが、

彼女は違ってまっすぐ振り向いてこっちを見てきた。

ここは感謝の態度を伝えるべきだ。

ありがとう

彼女は小さかった。

にこりと微笑むと、戸惑う顔を浮かべた彼女の頭に思わず手を置きたくなった。

ありがとう

今日はいい日だった。

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