チェック柄のスカートを履いた女の子が階段の前を登っていたので
心持ち目線を上に上げていったら、黒光りする楽器のハードケースに写る自分と目が合った。
ついでに前髪に手櫛を入れると酒席の熱気で歪んだ髪型が元に戻った。
さらにもみあげから生える白髪の一本を抜こうとしたときにふと姿が消えた。
革靴から伸びるニーソックスのラインに、ほっそりとした健全な足が徐々に押し開かれていく姿を想像したり、
ポンデライオンがシャンプーハットを重ねたように纏められた髪の後ろ毛に髪を直すときの無防備な脇の下を想像したり、
今日の帰り道は色々な人にお世話になってきたが、全ては片道の感謝だったが、
彼女は違ってまっすぐ振り向いてこっちを見てきた。
ここは感謝の態度を伝えるべきだ。
彼女は小さかった。