ブラック企業を辞めた。
いや、正確には企業ではない。
最初はプレイヤーで入り、そこからウエイターを経て人材業務とか運営なんかもした。
かれこれ2年半ほどだろうか。
この業界で1年続くのも珍しいのだから、それを考えれば大分古株って感じだ。
「飛ぶ」とは?
無断欠勤して出勤しないことだ。
僕もその一人。
まずは、暴力。
散々やられた。
歯も折られたし、骨も折られた。
入院が必要だったのに、人手不足を理由に入院させてもくれなかった。
治療費は払うといったけど、それも形だけ。
7万ほどもらって終わりにされた。
挙句の果てには、治療費払ってやってるんだからありがたく思えとか言い出す始末だった。
「言いたいことを言わないと殴るぞ」ぐらいな勢いで脅されたが、言いたいことを言ったところで結果は自明。
どちらにしても暴行を受けるだけだ。
そのうち、本当の意味での「イエスマン」にしかなれなくなった。
実験では犬を2群に分けた。
片方の群は、ボタンを押すと電気ショックが止まる部屋に入れられる。
もう片方の群は、何をしても止められない。つまり一定時間電気ショックを受けなければならない。
一定期間の後、後者をボタンを押すと電気ショックが止まる部屋に入れる。
するとどうだろう。後者は電気ショックを甘んじて受けるようになってしまっていた。
これを「学習性無力感」というのだが、正しくその状態に陥っていたらしい。
「特別罰金」の名のもとに、些細な失敗やミスで3回にわたり10万円ずつ、計30万円を給料から差し引かれたのだ。
普通なら、そこで抗議とかを考えるだろう。
そして、飛んだ日。
でも、しーらないっと。
挙句、法的手段に出るとか言ってきたが、もう馬鹿かとアホかと。
1000%こっちが勝てるのにね。
辞表送って終わらせようと思ってたのに、火に油を注ぐあたりがどうにもアホすぎて笑える。
それはさておき、ずっと基幹的な業務もしてた。
経理やら事務やらはほぼ一人で。
他のチームメンバーがあまりにも使えずどうしようもなかったからだ。
11時ぐらいに出勤して、帰りは平均で25‐26時。
ある日のこと。その日は打ち上げと言っていたが、現場に出なければならなかった。
チームリーダーも、何か仕事があるらしく、残りのメンバーで食事に行かせた。
そうしたら、なんと3万円の請求が来たというではないか。
一番働いている2人が何も食べてないのに、3万円とはこれいかに。
「一番働いてる人間は何も食べてないのに、なんでやろ」って。
僕とチームリーダーは唯一愚痴を言い合えたのだが、それはまた理由がある。
北朝鮮。
この名前は誰しもわかるだろう。
イメージするのはなにか。
「密告社会」
そう、正しく兼ね備えてるではないか。
こんなことがあった。
ある時、軽微な不正があった。
事務処理上のもので、敢えてそこまで追及する種類のものでもなかったのだが、あろうことかそれを密告したのだ。
当然尻拭いに大わらわ。
事務処理上、慣例的に行っていたのだがどうにもこうにもそいつ的には許せなかったらしい。
不条理さに腹が立った。
所詮、「何かあったら話し合え」とか言っていてもそこはセリグマンの犬。
黙っていたほうが賢明だ。
もう一つはこれ。
地上の楽園って話。
当時、僕は面接官でもあった。
嘘八百を並べ立てて、何としても入店させようとする、させなければならない。
従業員に言われた。
「●●さんが人生狂わせた」と。
僕は2年半も浪費したわけだけど、なんだかショックだった。
「水商売の勧誘にはついていかないように」と。
男性諸氏は喜ぶかもしれない。
ようやく辞めて、一息ついたところで。
暴露本でも出したら儲かるかしら。
しばらくは、相手の出方を伺いつつ、しかるべき準備を進める所存。