プロポフォール（ディプリバン）メモ

（アメリカのFDAによる薬剤情報、Lexicompより）

痙攣中の患者や、てんかんの既往のある患者への使用については、リカバリ期のけいれん発症の可能性について注意する
血行動態が不安定であったり、循環血漿量が減少していたり血管緊張性が低下している場合（敗血症など）、低血圧に注意する。平均動脈圧の30%近い低下が起こる可能性がある。
高脂血症がある患者で、血中トリグリセリドレベルを上昇させることがあり、急性膵炎のリスクがある。
注入箇所の疼痛、ならびにミオクローヌスが起きうる
ディプリバン製剤では、亜鉛がキレートされ亜鉛欠乏症を起こしうるが、発症の報告はない。

（二つ略）

3歳以下の小児の麻酔導入や、2ヶ月以下の幼児の麻酔維持には推奨されない。小児のモニタ下鎮静にも推奨されない。PICU 患者の鎮静にも推奨されない。
多施設研究により、PICUでのプロポフォール投与患者に高い死亡率が観察されている（9 vs 4%）。
プロポフォール注入症候群はICUの小児でも成人でも報告されている。
- 代謝動態の異常と臓器不全を引き起こす
- 構成要素は、重篤な代謝性アシドーシス、高カリウム血症、高脂血症、横紋筋融解症、肝腫大、心不全、腎不全
- 高用量・長期投与に関連する（> 5mg/kg/hrを48時間以上）が、高用量・短期使用後の発症も報告されている。
代謝性アシドーシス・致死的な心不全が、4週〜11歳の小児への使用で報告されている。
小児へのフェンタニル＋プロポフォールの投与は、徐脈を来す。

例の女子医大事件で、朝日新聞の記事に「プロポフォールは小児の死亡例が海外で報告され、代わりの麻酔薬を使うのが一般的とされる。」とあったのだが、そうだったっけか？と思って調べてみた。

結果としては、3歳以上への麻酔導入・2ヶ月以上への麻酔維持はよいが、アメリカでもICUでの小児への長期投与は推奨されていなかった。

勉強になりました。

ここは分けて考えるべきだと思われる。そして今回の事件はICUでの長期投与だから、やはりダメなケースだと考えられる。

ただ、「これまで63人に投与し・・・」については、もちろん日本の行政上は禁止行為なわけだけれど、純粋に医療として考えた場合、それが世界的には適切な麻酔維持・導入への使用だったのか、それとも今回の件のように危険なICUでの維持使用であったのかはわけて考えたほうが良いように思った。

2014-06-19