ささいなミスをして注意をされた。それだけのことだったのに、声が震えて喉がひっくり返ったような感覚と目頭が熱くなって出た言葉が「あ」だけだった。やり過ごしてトイレに駆け込んだ。
泣きそうだとわかった。社会人のくせに泣くんじゃない、と泣きそうになる衝動を押し殺した。とても苦しかった。こんなことを何度も繰り返すときっとどこかおかしくなると思った。
月の残業は30を超えないのに弱音を吐く自分はどうかしているのかもしれない。
私はもとからミスの多い社員だったが、この頃は萎縮しきってしまってまともに質問もできなくなってミスの多さに拍車がかかっている。
上司には半分くらい見放されていると思う。何を聞いても端的な答えしか貰えず、意味がわからないので更に聞くと呆れたように私を見つめる。
無視されることが多くなった。他の社員には朗らかなのに私にはつっけんどんである。私が使えない社員だからだ。
萎縮する。気持ちが閉塞する。
頑張ろうと思っていたのが思えなくなった。何もかもじっと耐えて過ぎ去るのを待つような気持ちで終業時間を待つようになった。
もう頑張れない自分がいる。
正しくプリントアウト案件。
えー。これは新人ならだれでも通る道なんじゃないの。