思い返せば、自分にとってのアニメ・オブ・ジ・イヤーは春に出現することが多かった
春になると桜が咲くように、春になると出現するのがアニメ・オブ・ジ・イヤーだった
各陣営が最も力を入れているのが春アニメなのかもしれないとも思っていた
とにかく、今年の春もアニメ・オブ・ジ・イヤーと言っていい出会いがあった
放送前は全く期待していない作品だったというのもアニメ・オブ・ジ・イヤーの特徴だった
注目度や期待が高いところからのスタートと、低いところからのスタートの違いってやっぱり大きいなと思う
なんにせよ、「これいい」と思ってからの突き上げと、面白さと、次回の待ち遠しさは他の追随を許さないことが多かった
「これいい」と思ってから、自分なりの作法をもって敬意を払うようになるというのもアニメ・オブ・ジ・イヤーの特徴だった
まず、どんなに眠くても必ずリアルタイムで観なければと思うようになる
視聴前にきちんと空腹を満たして、口が寂しくないようにお菓子とジュースを用意して
きっちり禊(入浴)を済ませて、目を覚まさせて万全の状態で観なければダメなんだという感じになっていく
(酒を飲むと酔ってしまって作品を楽しめなくなりそうな気がしているが、場合によっては変わる)
他にも、大画面高画質テレビで、邪魔が入らない一人の空間で、部屋を暗くして、ノイズを排除して観るのは基本だし
公式であっても最初にネット配信で観てはいけないし、アニメを観ている最中にネットで色々するのも絶対に御法度
その時間は、目の前で放送されているアニメだけに集中することが何より求められる
アニメ以外のノイズがほとんどしないというのは本当に願ったり叶ったりな時間帯だった
とにかく、ちゃんと万全な状態を作って観なければいけないと思ってしまう
「これいい」と思ってからは、次の放送まで我慢できなくて何度も何度も何度も同じ話を再生してしまう
放送期間中に最新話までの一挙放送をやることも一度や二度では済まない
何度も何度も何度も観て楽しんで1クール終わりには相当なリピーターになっている
でも何度も何度も同じ話を観ると、さすがに磨り減ってしまう
最初の新鮮な気持ちが磨り減っていくし、初回特有のあの感覚が薄らいでいくのを味わってしまう
観る度にすり減っていくのを実感してネガティブな気持ちになってしまう
一回目に近いほど、その新鮮な気持ちを忘れず噛みしめることが求められる
磨り減るから繰り返し観たくないんだけど、何度でも観たいというジレンマもある
自分の場合ピークまでの期間はそんなに長くはないから、余計に、その短い期間のうちに楽しまなくてはとも思ってしまう
その短い期間こそ作品を最も楽しめる最高の時期であり、もう二度と今と同じ気持は味わえないんだと思ってしまう
今この時にちゃんと楽しむことが、最大限の楽しみ方なんだと思っている
だから早い時期にリリースされるCDは本当に嬉しいし、手に入れてから何度もリピートしてしまう
この先磨り減ってしまうことがわかっていながらも、繰り返さずにはいられない
ちゃんと新鮮な気持ちを味わうために、繰り返し観た内容をいい感じに忘れたいという願望もある
その部分だけをキレイに忘却できる薬か何かがあったら迷わず手を出してると思う
アニメ・オブ・ジ・イヤーは、放送が終わったらその時が来るまで絶対に再視聴はしない
放送開始日からちょうど一年後、同じ日の同じ時間に同じように鑑賞して楽しむために封をしておく
あの感覚をまた味わうために、あの時の心境を思い出すために、あえて触れないようにしておく
毎週、あのときと同じ時間に、同じ状況を創りだして、一話ずつ鑑賞するっていうのが大事になってる
きちんと作品関連のCMだけを残して編集してあるのも、その時期の感覚と状況を思い出すのに必要だから
ちゃんとCMもあってこその本編だと思うし、欠かせない大事なものになっている
だからアニメのBD・DVDにも、本編再生中にCM(話数に合ったやつ)を挟んでくれる機能をつけてほしいと思っている
家にテレビがなくて、ネットカフェでアニメ・オブ・ジ・イヤーを観ていた時の話
ネットカフェを出た後の夜道を歩いていると、自分の体にタバコのにおいが付いているのがわかった
いまでもネットカフェのタバコのにおいがちょっと気に入っていたりする
夜道を歩きながら、その匂いを感じたいがためにネットカフェに行きたくなる
そんな感じ
アニメ・オブ・ジ・イヤーは完全に一人で楽しんでいる
自分だけの思い出として胸に秘めるのが絶対の掟