文芸や映画の批評は元になる作品がなければ成り立たないにも関わらず、その作品や作者に向けて書かれたものではない。
どうしてこんなもの書くんだろうと考えてみると、「批評はその読者に向けて書かれたもので、それによって金になるから書くんだ」と一旦は思った。
さらに考えを進めると、創作の真似事としての面が強く意識された。
人間は消費者である内は誰でもない誰かでしかない。そんなのは嫌だと何かを創ろうとしても、生産者になるのはとても難しい。
そんな消費者が、生産者にはなれなくてもせめて何者かになろうとして足掻いて書き上げたのが批評なんだろう。
だから作品や作者に向けてでなく、創作の劣化版として別の消費者に向けられているわけだ。