2014-03-11

地震保険についてちょっとだけ

地震保険保険料が上がるとかって言うんで、駆け込みで入ろうとしているヤツが多いから基本的なこと言っとくわ。

ちょうど、この手の話をするのに、良い日でもあるしな。

忙しい人向けのまとめ

地震大国日本で紙と木で出来た戸建てに住みたがるギャンブラーは入れ

それ以外は止めとけ

保険は、多数をまとめてリスクを均等化する手法

オマエラが100人居て、うち、90人が60歳になるって統計があるとするな。

で、ウッカリ死んだら3000万円は保証して欲しいとか考えてるとするな。

すると、100人で3億(10人x3000万)貯めておけば、まあなんとかなる。1人頭300万だな。

30歳からやり始めれば、一人月8千4百円くらいで、3000万保証できるな。

300万の損で、何時起こるか判らん3000万の損アクシデントに備える。

これが保険だ。

ただ、この例だと、3年以内に誰か死ぬと、3000万払えない。

55歳で10人目が死んでも、60歳以上で11人目が死んでも、足りなくなる。

から保険会社ってのがあって、ものすんごく大量に契約者を集めて、資金プールしてる。

保険の生臭い

保険ってかなり相互扶助的な意味合いが強いから、儲け過ぎって国から規制されてる。

で、儲け方が、利差、費差、死差って3つに分類される。

  • 予定してたより、運用マネーゲーム)が上手く行った時の、利差益
  • 予定してたより、費用事務費諸々)が少なかった時の、費差益
  • 予定してたより、死亡(事故他も)が低かった時の、死差益

運用費用は取り敢えず置いとくが、ここで死差益って呼ばれてるところが問題で、

保険ってのは破綻しないように、死人が出る数に余裕をもって保険料を設定する。

さっきの例で行くと、統計的10人ってデータが見えてたら、11人とか12人死んでも大丈夫なように金を集める。

(この統計的ってところのデータが、実はもっと死なないのでは?とか言われてるけど、今回は割愛

大抵の保険では、想定外のことは免責にしてる

当然読んでから契約してると思うが、生命保険も傷害保険も、戦争その他騒乱によるものは免責事由に入ってる。

これは、例えば60歳までに100人あたり10人ぐらい死ぬだろ、と設計して保険料集めてるのに、

戦争があって爆弾落ちてきて辺り一面焦土と化して100人あたり90人死ぬとか想定してないからだ。

被害甚大なレアケースを被害を受けない大多数とで平均してカネを集めて対処するのが保険なので、

戦争を想定した保険料は(そもそも設定できるかどうかも判らんが)もし設定すると、トンでもない金額になる。

なので、あんまりにもあんまりなケースは「想定外なんでソレについては払いません」と決めてる。

これは、保険料を安く設定するための方法なので、契約してる一般の人にもメリットがある。

一般人が触る保険のほぼ全てに、保険を払う範囲と、払わない場合を設定してる。

地震保険は、火災保険の変種

誤解を恐れずに言えば、保険料控除がきく「地震保険」ってほぼ「火災保険」だよ。

何言ってんだオマエ、とか思っただろ?

火災保険って、地震が原因で起こった火災に対しては、保険金さないよ。

かなり裁判で争われて、最高裁まで行った奴もあるけど、知ってる判例では結果は全部、保険金は支払われていない。

(説明が足りなかったんだから慰謝料を払え、みたいな変形戦法で争った奴が有名だけど、あれも負けたな)

ここまでで説明したとおり、保険料を設定する時には、ある程度範囲を決めとかないとトンでもないことになる。

から、ほぼすべての「火災保険」で、地震・噴火・津波戦争による火災は、免責事由(払わねえアクシデント)扱いになってる。

要は、保険会社リスク計算して金を集めて払うのが、ほぼムリって音を上げてると言って良い。

で、火災保険じゃ払ってもらえねえ「地震による火災」をカバーするのが「地震保険」だと思っておけば間違いない。

地震保険カバーされるリスク

路頭に迷うリスクカバーされてる。

地震保険火災保険の変種だって話はしたな。根拠もある。

まず覚えて欲しいのは、地震保険は、地震で崩れた家を建て直す為の保険じゃない。

地震津波があった時に、財産一切合切無くして路頭に迷うことがないようにする、生活再建のための資金だ。

から火災保険だと立てなおしたり買い直したりするのまで面倒見る保険があるのに、地震保険だと50%までになってる。

ま、ローン抱えててもいきなりどんづまったりしない為の資金、だな。

んで、保険会社によって差がない理由は、ほとんど国が保険金支払い元になるからだ。いま6兆円ぐらいプールしてる。

さっきも言ったみたいに、民間にゃ地震保険はムリだよ。

で、そもそも地震保険がないとマズイねって話になったのは、さっきの火災保険の免責事由によるところが大きい。

地震だ火災は間違いなく発生して、発生すると紙と木で出来た一戸建てってのはあっという間に燃える

で、預貯金以外は全部燃え尽きた挙句保険金が支払われなかったりして、悲惨な事例があった。

これをカバーするのが本来の地震保険目的な。

あとは、地震保険の半壊一部壊は無視して良い。

だって結局、全壊したって評価額の半分しか保険金おりねえから立て直せねえもん。

からまあ「火災保険の変種」は言いすぎだとしても、地震津波そいつら原因の火災で、家がなくなった時に路頭に迷わない為の保険なワケよ。

火災保険地震保険に入ってれば、大抵の場合ドンまったりしない。

地震大国で、地震保険に入るべき奴

一戸建て所有者。

ソモソモ論で行くと、地震大国日本に住んでて、木軸構造の戸建てに住むとか正気の沙汰じゃない。

鉄筋コンクリ建物と、木造建物って、耐震も耐火も天と地ほども違う。

地震が怖い火災が怖いってやつは、そもそもマンションに住め。それだけでリスクは段違いに低くなる。

から、「地震が怖いから積極的に)地震保険に入る」じゃなくて「戸建てに住んでるから(已む無く)地震保険に入る」が正しい。

んで、1982年以降の鉄筋コンクリマンションってのは、地震で躯体が全壊することはほぼ無い。

さらに、火災発生のリスクも戸建てに比べて低いし、ほとんど類焼しない。

で、実際に壊れるのはエレベーターだの手すりだの扉だので、こういう時は保険金ほとんどおりない。

命は助かったし躯体も無事だけど、住むには困るって状態の回復に地震保険は役に立たない。

まとめ

地震保険って、ほとんど「国」の保険で、地震が起きた時の火災対策がメイン。(あと全壊対策)

で、今の保険料設定だとマンション住まいの奴は無駄金払うことになる(と、個人的には思う保険料設定)。

結果、地震の起きやす地域ハザードマップ津波のおそれがある地域の戸建ては、入っとくと他に比べてお得ではある。

年間5万(控除でほぼ3万5千円)でも50年で250万(控除込みで175万)だから地震で全焼した時に途方にくれないための保険料としては、妥当な気がするな。

つーか、保険金1000万あたり年間保険料が3万超えてる地域の戸建ては、入るのほぼ義務だろ。

(だから火災保険地震保険付けるのが原則で、「地震保険に入らない時は、押印する」ってな確認をとってる)

マンション住まいのやつは、その金使ってコンロを地震揺れストッセンサ付きに買い替えたり、タコ足配線のホコリ掃除しとけ。

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