佐村河内守の話。あの人が難聴じゃなかったらあそこまで売れなかったのは公然の事実であろう。また、普通の音楽家が偽造を行っていても、ここまでのニュースにはならなかった。音楽そのものの価値よりも「難聴」で「被爆2世」というブランドの方が強いのではないだろうか。そう感じた。
この手法はマーケティングの世界でも使われている。ストーリーテリングやストーリーマーケティングという言葉を聞いたことがある方も多いと思う。実際の商品が出来た経緯や、会社の理念を伝え、それにより商品を売る戦術だ。代表的な例がfacebookである。当初、日本ではそれほど人気がなかったfacebookだが、映画ソーシャルネットワークにより一段と利用者が増えた。
良いストーリーは我々の心を揺さぶり、感動させてくれる。だが一方で、本来の価値を見えなくさせてしまうのではないだろうか。ストーリーが産業として売り出される時代、我々はより慎重に物事の価値を見極める必要がありそうだ。