2013-10-16

ホームの向こう側で、室内の明かりを全て消して止まっている回送電車が怖かった。

シルクスクリーンを貼ったように中を見通せないところも、グリーン車廊下の非常灯のみが点々としているところも。

そう遠くはない昔、不意に消えた室内灯の影で友達の手を握って

ホームに入ったところでほどいたことを思い出した。

手袋のごわごわした感じに、マフラーのしまい場所を思い出しながら歩いていたらいつの間にか家へ。

玄関の鍵を開けて中廊下の明かりをつけると、中扉の曇りガラスごしに

ルーターが赤く明滅するのが見えた。

誰かが部屋にいることを期待しなくなったのはいからだろう。

誰かが奥にいたら、逆に怖い。さっきの電車みたいに。

明かりは人のいるところにしか灯らない。

一口に言い切れば、なんて簡単な理屈……

けれども、自分には久しく忘れていた理だった。

朝は人いきれに疲れて、夜は人がいないことに身をすくめる。

勝手の悪い感情に振り回されて今日も終わり。

ただただ疲れた。

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