2013-10-12

ある通勤電車にて

嫁の妹から聞いた話が面白すぎたのでまとめとく。

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埼玉から都心に向かう満員の通勤電車での出来事。

事の発端は大宮駅でのある出来事。

ドアが締まる直前に乗ってきた二人。ひとりは典型的サラリーマン40代後半。

もうひとりはビームスあたりのセレクトショップで働いてそうなシュッとした若者20代後半。

サラリーマンが既に95%くらいのスペースに先に乗り込み、

98%となった状態で若者が乗ってきた。

その時に軽く足がぶつかっただか、蹴っただかで、

サラリーマン若者イチャモンをつけはじめた。

「足当たってんだけど」

「なんで蹴ってんだよ」

若者は「あ、すいません」と軽いながらもそこそこ誠実な対応を見せたものの、

そのイチャモンは止むことがなく、徐々にヒートアップするサラリーマン

大宮駅出発から10分間、極めて険悪なムードのまま湘南新宿ラインは走行を続け、

電車ゆっくり浦和駅のホームに滑りこむ。

そして、ドアが開く直前、

サ「お前ちょっと外でろよ」

若「おう、やってやるよ」

というわけでドア開放とともにストリート(ホーム?)ファイトスタート

身体能力に勝る若者が豪快にサラリーマンを投げ飛ばし

あっという間に先制点を奪うも、サラリーマンも当然それで終わる(終われる)わけもなく、

猛然と若者に挑みかかる。

相変わらず満員の車内にはふたり心配をする、というよりも

「これで面倒から解放される」という安堵感が広がった。

面倒なサラリーマンも、血気盛んな若者もいない。これでいつもどおりの通勤だ、と。

しかし、その希望わず20秒ほどで打ち砕かれる。

「ドアがしまりまーす」

発車のベルが鳴り、駅員のアナウンスが聞こえた瞬間、

観客の誰もが想像していなかったことが起きる。

サラリーマン若者が、取っ組み合いをしたまま元乗っていたドアに向かってきたのだ。

そして、肩で息をしながらも、ふたりギリギリで乗り込んでしまった。

車内の雰囲気が一変する。

(「え、取っ組み合いのケンカってそういうタイミングで終わるの?」)

(「めっちゃ中途半端じゃん……。なにこれ」)

(「そうか、会社遅刻したくないっていうかできないから乗ったのね……。」)

(「ちっちぇ~……。」「っていうか日本人……。」)

ともあれ、全員が心のなかで「乗るんかい!」ってツッコんだと思う。

そして物語は第2章へと進んでいく……。

取っ組み合いのまま乗車したわけで、当然また言い争いは続く。

そして、本当の衝撃は、このあとに訪れた。

サ「お前ふざけんなよ頭打って血出てるじゃねえかよどうしてくれんだよ」

若「え……?」

血はひとつも出ていない。

サ「すりむいて血が出てんだよどうしてくれんだよ」

サ「家帰ってかあちゃんとか子ども心配するだろうがよ」

サ「会社行ってもどうやって説明すりゃいいんだよ」

若「知らねーよそんなもん……。」

車内は「またこのままの感じで赤羽まで行くのか……。」という絶望に包まれていた。

最悪な通勤である。そして、サラリーマンから衝撃の一言が発せられる。

サ「じゃあお前、絆創膏代払えよ!」

若「え……?」

(「え……?」)

若者も他の乗客も想定外すぎる答に戸惑った。車内には多数の「?」が浮かんだ。

サ「絆創膏代だよ! このままだと心配されんだろ!」

若「え、絆創膏っていくらっスか……。」

サ「絆創膏だよ! 500円くらいするだろ!」

若「500円……。」

(「500円……。」)

慰謝料みたいな話になるかとおもいきや、500円であるサラリーマンランチ価格である

っていうかどう考えてもランチ代浮かそうと思ってるだろ。

全く着地の見えないまま走り続ける電車

ストリート(ホーム)ファイト以外では防戦一方だった若者が、ついに逆襲に出る。

若「っていうか絆創膏って百均でも売ってますよね?」

若「500円もしねーし。100円でいっしょ」

正論である絆創膏百均に売っているかどうかはこの際どうでもいいとして、

確かに500円はぼり過ぎな気がする。そして、サラリーマンから出た言葉は、

若者と、その場に居合わせた乗客全員に爆笑を届けることになる。

サ「100円じゃねえよ! 105円だよ! 消費税いるだろうが!」

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「若手の芸人コントネタ合わせでもしてたんじゃないの?」と思うほど

よくできた話でございました。上野行きの宇都宮線にはご注意を。

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