2013-09-01

http://anond.hatelabo.jp/20130901102804

http://anond.hatelabo.jp/20130830202223最初トラバ先)

http://anond.hatelabo.jp/20130831142238自分の記事)

元増田の人が2nd Seasonを書いてくれたので、こういった若い人たちに役立ちそうな知識をさらに追記してみたい。

(実は若くなかったら申し訳ない)

念のために書いておくけれど、僕は最近ラノベ専門学校の実態は知らないし、体験入学に行ってみて入らないというのは、優れた判断だと思う。

実際に教師の質をどう担保しているのか不透明だし、やはり意識の低い学生も多い。(自分の時は、おおよそ2割=10人は中退した)

教師は別に仕事を持つ社会人が多く、どちらかというと偏った業界の偏った人格人達で、しかも扱う分野が本来主観的ものであって、生徒への評価も心情的になりやすい。

それに、最近ラノベブームで、雨後のタケノコのように学校が開かれているのかもしれない。

そういったところはやはりノウハウも無いだろうし、授業の質も低いだろう。

(余談だが、僕が通学していた当時は、まさかこれほどラノベ流行するとは正直誰も思っていなかった。ただ、先生は「これからミステリー小説のように定番ジャンル化するだろう」と予言していた。涼宮ハルヒも出ていない頃だ)

から専門学校に通わないというのは、比較的低リスク・低コスト賢明な判断だと言える。

しかしながら、元増田が挙げてくれた問題について、それを断定のまま終わらせてしまうのはもったいない

特に3番目の問題、

でも、文章を書く営みって、そんな秩序立ったものではないですよね?

もっと柔らかくて、鵺のように捉えどころがない。そんなものを『教える』ことなんてできるんですか?



は、創作を志す人間が当然抱いて然るべき疑問だ。

元増田が残念なのは、この深い疑問を、専門学校体験入学ときで解決してしまった気分になっていることだ。

僕自身、先生に教わったり罵倒を受けたりしながらも、この疑問に突き当たった。

そして、学校の内側と外側の両方で、この問題について世の中の頭の良い人達がどのように携わってきたか、それなりに気にしてきた。

これから、僕の認識できた範囲での参考資料を挙げようと思う。

おそらく、以下の参考資料を全部精読し、実習を行い、誰か信頼できる人から客観的添削を受け、頭だけではなく全身に技術をしみ込ませることができれば、決して取り戻せない数百万円と数年を賭して専門学校に行く必要など、皆無だろう。

また、下記ばかりでなく、もっと体系的でしっかりした知識が学べる大学なり海外大学なりケンブリッジオックスフォードもあるかもしれない。

そういったものがあると分かったら、単純にそこへ行くべきだ。

「文章作法」について



文芸的な文章を除く基本的なライティングについては、古典的な書籍がたくさんある。

下記2冊は、ここで紹介するのが恥ずかしいくらい基本的な書籍だ。

日本語の作文技術
理科系の作文技術


「文章作法」について、上記以外



さて、上記のような確立した情報伝達技術ではなく、独自の表現をしてみたり、人を感動させる文章を書きたい場合、そういった技術は教える・教わることができるのか?

それを体系的に扱うことは確かに難しい。そもそも人の感情であったり、表現から受け取る印象が非体系的だからだ。

からといって、先人がそれを教育世界で取り扱おうと努力してこなかったわけではない。

どうしても総論ではなく各論になってしまうが、それでも個人的に見て良書は多い。

「文章作法学校教育のように教えられない」結論に至るのは自由だが、下記書籍を全部読んでから至っても決して遅くない。

読みやすものから順に挙げる。

文章表現400字からのレッスン
新作文宣言


「作文」の価値を捉え直した、文章表現入門書。作品でも製品でもなく、純粋な「作文」そのもの価値を再発見している。

文章表現法講義


大学講義をまとめた本。固いタイトルに反して、極めて柔らかい語り口で柔らかい内容を講義してくれている。

だけど、書くことの意味について、「美」について、とても鋭い視点であふれている。

レトリック感覚
レトリック認識
レトリックの記号論


前の文章でちょっとだけ出した。レトリック、つまり、文章で人の心を動かすための体系的知識(!)を取り扱っている名著。

レトリックは長らく馬鹿にされていたらしい(結局、ただの言葉のあやではないか?)が、それを感覚論・認識論記号論観点から再評価した名著。

なぜ直喩隠喩より優れた修辞技法になり得るのか? といったことが詳しく書いてある。

新しい文学のために


大江健三郎による文学論。そもそも小説文芸作品とは何を目指すものなのか? といったことを明確に書いてくれている。

それは同時に、読者としての私たちが誠実な文芸作品の中に何を求めるべきなのか? ということでもある。

文章読本


文章読本は色々あるが、その中でももっと実践的と言われる丸谷才一の本だ。

歴史的仮名遣いで読みにくく感じるかもしれないが、内容そのものは平明だったと思う。

しかし、いまなぜか手許に無いので詳しいことは書けない。「ちょっと気取って書け」くらいしか思い出せない)

小説の諸相


E.M.フォースターによる文学理論Amazonで8000円くらい。僕はカチグミなので古書店1000円で入手できた。

ストーリーはあまり美しい要素ではありません」という衝撃的な宣言が印象に残っている。

ナボコフの文学講義 上
ナボコフの文学講義 下


最近文庫本で読んだ。

小説というものを本来どう味わうべきか? どう書かれるべきか? という熱のこもった講義録だ。

ロリータ」を読む視点が変わる。

まだ見ぬ書き手へ


新装版が出るんだ……。

芥川賞を最年少(23歳)で受賞しながら、文壇に属せず、独りストイック小説を書き続けている作家文学指南書。

テクニックの本ではないが、ここで明らかにされている執筆姿勢には衝撃を受ける。

アウトサイダー(上)
アウトサイダー(下)


ホームレスをしていた25歳のコリン・ウィルソン大英博物館一気呵成に書き上げた文芸評論書。

アウトサイダー」というキーワードのもと、文学美術舞踏哲学などなどを横断的に眺め渡した名著。

本気で読むと人生が狂う。

日本文学史序説〈上〉
日本文学史序説〈下〉


先の記事で書いた。全日本人が読むべき。

なんだかこういう本のことを書けるのが嬉しくて、ついかっとなってリストアップしてしまった。今は反省している

偉そうに書いたけれど、結局は僕も文学界新人賞名前が小さく載ったくらいの実績しかない人間で、そんなには当てにはならないだろう。

しかし、僕自身が当てにならなくても、何が当てになりそうかの感性結構あるつもりだ。

教育における教師とはそういうもので、自分ができなくても人の作品を見て添削できたりはする。

オリンピック選手だってコーチはいるのだ。

失敗している人からだって、むしろ失敗している人だからこそ学べることもある。

そういった人達の行く末をよく見て、やはりラノベなんかやめて、楽しくOSエディタコンパイラでも作ろうと思って欲しいのだ。

記事への反応 -
  •  文芸系(多くがラノベ)の専門学校の体験入学やオープンキャンパスに行ってきた。「専門学校 ラノベ」でググると上位に表示されるような有名な学校に3つほど。  特に理由はない。...

    • http://anond.hatelabo.jp/20130830202223(最初のトラバ先) http://anond.hatelabo.jp/20130831142238(自分の記事) 元増田の人が2nd Seasonを書いてくれたので、こういった若い人たちに役立ちそうな知識を...

    • 横レスで済まないがWordは便利だぞ。章にスタイル1、段落の最初の一文にスタイル2あたり指定しておけばあとでアウトライン確認できるし、各段落に飛ぶのもナビゲーションウィンドウ...

      • notepad.exeはそういうのないけど、アウトラインについてはこういう実装あるよ sakuraエディタのアウトライン解析を発見!CSS修正がいい感じ♪ http://es.istgut.jp/web-tools/sakuracss.html とり...

        • 物書きがwordを使わない理由にはならないよ。どうでもいいけど。

        • お、おう。プログラマなのでこれは知ってるんだが、小説書くときにはわざわざ記号入れなきゃいけないわけだよね?原稿清書で消さなきゃいけないわけだよね? あとページ数わからな...

    • 専門学校ってのは、それが好きな人がいく学校だぞ? プロになるための学校ではない。 つまり「ラノベを読むのが好き」な人が行く学校だ。 学ぶとかそういう話は誰もしていない。

    • ラノベ作家になりたいなら法政大学の金原瑞人ゼミに入るのが一番じゃね? 古橋秀之、秋山瑞人を輩出し、芥川賞作家も出してるし。 専門学校よりは実績あるよね。

    • 多分本当にひどいんだろうけど そもそも文章書くのって才能だよね テクニックじゃない

    • >物書きはプレーンテキスト形式で、テキストエディタ使って書くよ Emacs最高!一番好きなバーガーです!

    • 美術に関しては専門学校は言うに及ばず、大学ですら酷い。 どの大学も技術的指導なんて行わない。上手い奴は上手く、下手な奴は4年経っても下手なまま。 美大ってのは、卒論書く代...

      • んじゃその美術予備校が「絵で食う(≒年収300万円x40年)」のなんか足しになるんですか? といわれれば、それは果てしなく疑問。 だいたいのところ、ライトノベルの専門学校と同...

        • そこでまず、どう学ぶか、から学ぶんだろ。 だから、そこですべて学ぶんじゃなくて、まず何をすればいいか、っていう基礎を得られるかどうか、ってことじゃない? それさえできれば...

          • 日本で「絵で食ってる人」のおそらく90%くらいは、地方のチラシの捨てカット描いてたりするわけですが、彼らが美術予備校通ってたりするわけですかね? 彼らが「食べる」技術が、...

            • つまり、日本で「絵で食ってる人」のおそらく90%くらいは糞虫だということか。 別に絵で食うどうこうとかどうでもいいけど、最低限それくらい出来るのが条件でやってると思ったけど...

              • 糞虫と言ってるのはそっちでこっちじゃないっすな。 こちらとしては、美術予備校に通ってたかどうかよりも、社会の中で生産して生きている方がよほど価値があって上等だと思うんだ...

                • カテゴライズしたのはそっちでしょ?そういうレベルの人達が居るんだってのは別に意識してなかったし。 こちらとしては、美術予備校に通ってたかどうかよりも、社会の中で生産し...

    • http://anond.hatelabo.jp/20130830202223 小説を書くための学校に、2年間通った。 特定を恐れずに、その経験談を書いておこうと思う。 最初の教科書は本多勝一と木下是雄だった。 400文字詰原...

      • えーと、つまり専門学校なのに専門的なことは何一つ教えてもらえず、罵倒されただけってことでしょ。 その学校には体系的に物事を教えられる教師は存在せず、世の中で評判の良いテ...

    • 冷やかしで専門学校三つもめぐっちゃうの?

    • すげえな…専門学校ってのは… 最近だと京都精華大の「マンガ学部」や東京工科大の「ゲーム学科」にも驚いたけど ところで誰か以前はてブでも話題になったボカロP学科の話知らない...

    •  先回のエントリー( http://anond.hatelabo.jp/20130830202223 )は好評だったみたい。  ブラウザの履歴消して、Google垢からログアウトしてから「専門学校 ラノベ」で検索したら、くだんのエン...

      • ラノベ作家、漫画家、ゲームクリエーターなどを養成する専門学校の体験入学に参加してきました。 入るつもりは全くないのですけど、後学と言いますか社会の闇を見たくなって突撃し...

    • ラノベ作家養成専門学校が酷い。 http://anond.hatelabo.jp/20130830202223 ラノベ作家養成専門学校が酷い ~2nd Season~ http://anond.hatelabo.jp/20130901102804 あほか。本当に学びたいなら大学があるだろ。 h...

    •  増田に投下したネタが、Google検索結果の上位に表示されて驚いている。  以下の13エントリーは私が増田に投下したものだ(ブクマ50以上)    恋と社会とチョコレート http://anond.h...

    • メル友(死語)に『ラノベ作家を養成する専門学校に行くなんて気が触れてるとしか思えない』と書いたところ、大真面目な反論にあった。彼(男だよ!)の反論を要約すると……  1...

    • 前回までのタマスジ https://anond.hatelabo.jp/20130830202223 https://anond.hatelabo.jp/20130901102804 https://anond.hatelabo.jp/20160813154757 ※本エントリーは上記エントリーを読まなくても楽しめるよ★ 交通費と...

      • 5年掛けてひたすらラノベ専門学校をdisってるというのも気持ち悪いな。

      • 積極的に私が他の参加者に話かけようとすると「やめてください」とスタッフに制止される。 「弱い子が多いんです」というのがその理由。何が弱いのか? 頭? 自尊心? あと、...

        • 最初2013年から始まっているから、5年間も粘着しているんだろ。ラノベ専門学校もひどいかも知れないけど、それに執着している筆者も大概じゃないか? 完全に要注意人物として警戒さ...

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