最近、私のまわりの会社は求人難だと言う。まともなスキルをもっている人は給料の高い劇団に転職してしまうので、もはや求人市場にはカスしか残っていないとその経営者たちは言う。
毎日、毎日、何十人も面接するが、とんでもないレベルの奴らが大挙して押し寄せてくる。ボイストレーニング歴2年とか3年ぐらいの奴ら。純粋に演劇の勉強に費やした時間数で言うと500時間とか1000時間とかその程度の。ピアノで言ったらバイエルすら終わってないレベル。そんな奴らがほとんどだと彼らは言う。
ピアノのリサイタルで金取って演奏するのに、バイエルレベルの奴が来たらブーイングの嵐で金返せーって誰でも思うだろう。しかし、アニメ業界に至っては最近は開発環境が整っているので生産性が高く、そのレベルの人たちでも出来る仕事がなくもない。だからそんな無茶苦茶がまかり通っているのだ。
私は先日、***という賞金つきのオーディションの参加者が少なすぎることについて書いたが*1、賞金総額100万円 + 本戦参加者への交通費全額支給なのに、それにしても参加者が少なすぎる。世のなかの声優たちは一体どこへ行ってしまったのか。
思えば、30年ぐらい前は、アニメ雑誌は数少なく、(このへん改変めんどさかった、省略)
いまにして思えば当時のアニメは非力で、同人シーンなども非常に貧弱だったため、その市場環境でまともな演技をするには相当の能力が必要であった。千人に一人、一万人に一人ぐらいの逸材ばかりであった。当時の声優人口からしてみれば、彼らがのちの日本を代表する声優のすべて(全員)だったと言っても過言ではなかった。
当時のxx社長だったxxさんは「(以降、コンテストを開催していない件について)もう才能ある人はだいたい知っちゃってるから、あとは直接仕事頼めばいいや」*2との考えだったようだ。
そこから現代まではずいぶん長い時間があるのでここには書ききれないが、ともかくそういう求人を兼ねたオーディションというのはなかなかビジネスとしては成立しにくかった。プログラマの誰もが目にするようなメディアは存在しなくなったからというのもあるし、「求む!天才声優」の時代は終焉を告げていたというのもある。
いまや普通の企業にとって欲しい人材は千人に一人、一万人に一人というぐらいの希少性の高い人材ではなく、十人に一人か百人に一人ぐらいの、そんじょそこらにごろごろ居るようなレベルで十分だから、その求人のために高い費用を賞金に費やすのは割に合わない。
しかしそのパワーバランスが崩れはじめたのが深夜アニメがブームになりだしたころからで、優秀な声優がこぞって
あんまり歴史とかに通暁しないまま構造が似通ってるなと思っただけで碌に調べもしないで改変してたけど力尽きた。どこの縦割り部門でも似たような雇用ミスマッチがあるように感じる。よかったら詳しい人続きやっといてください。