金を渡す瞬間というのは、その客を、また逆に店員を知るというタイミングだと思う。
俺はブサメンなので、なるだけ客の手には触れないようにしてある。
特に若い、高校生や20でこぼこの女の子には、気をつけている。
正直なところ、客の手に触れて「あっ」とか「おっ」とか思わないこともない。
あまり客の顔を見ていられる余裕もさほどないが、
「どうやってお釣りを渡そう」と思うこともある。
いかにもという感じで同伴しているのはよく見かける。
手が触れるかどうかなんか気にしてないように感じるのです。
あからさまにザラザラな子がいる。
たぶんね、苦労してないと手がすべすべなのよ。
俺もそうだよ。手が汚れてない。かさついてない。
もう顔が赤黒いだろ、っていうようなアル中のオッサンも
手がささくれだってる。
そうなってる人もいるみたいではある。
そういう人はまた別の苦労をしてるんだろうけど。
別にチョンと手が触れるだけで
その相手のことが全部わかっちゃうなんてことは毛頭言う気ないけどさ、
この痛んでない手で相手に触れるとき、
「こいつ苦労してないな」と理解されちゃうってのは、
ちょっとした恐怖なんだと思う。
手を触れられたくないってのは、
まあ、そんな感じ。
キモいね。
心理学の用語で言う「投影」だな。自分が考えていることを相手も考えていると思っちゃうっていう。