元ネタ https://sites.google.com/site/ramentenshippai/home
イタ飯屋にも慣れてきた三年目の春
あなたはイタ飯屋の店主としてある程度自信もつき風格も出はじめてきました。当初は客の少なかった店も繁盛するようになり、毎日大忙しです。
ある日、あなたの店にOさんという人から予約の電話がかかってきます。断る理由のないあなたは快諾し、Oさんはあなたの店に来店することに決まりました。あなたはOさんの名前をどこかで聞いた事があるような気がしましたが、どこで聞いたのかまでは思い出せませんでした。
数日後、Oさんは予約通りに店にやって来ます。中年の男性で、作家やタレント、ツイッタラーとして有名なかのOさんでした。問題は、知っての通りOさんは手足に障害を持っており、車椅子で来店したことでした。地価の高い銀座の街中にあるあなたの店は狭くて、他のお客さんを追い出さない限り車椅子のお客さんを入れることはできません。しかも二階にあり、二階にはエレベータが止まりません。そういった理由でOさんに店に入れることはできないと伝えると、Oさんは言います。
「ちょっと下まで降りてきて、抱えていただくことは…」
店はランチタイムの繁忙時です。そんなことをしている余裕はありません。忙しいから無理だと伝えると、Oさんは憮然とした表情で黙り込みます。自分が苦労して飲食店を切り盛りしている中、タレントや作家として成功しているOさんを内心妬ましく思っており、しかも連日の激務でいら立っていたあなたはさらに付け加えて言ってしまいます。
「悪いけれど、これがうちのスタイルなんでね。それに、車いすなら事前に車いすだと言っておくのが常識でしょう」
次の日、仕事を終えたあなたはパソコンを立ち上げ、「はてなブックマーク」を眺めます。ホッテントリには、あなたとOさんのやりとりをまとめた記事が載っています。OさんはTwitterに書き込みをしています。
「店主の対応には、まるで“心”が感じられなかった。接客業として、あの物言いはあまりに悲しい…」
イギリス在住のノマドワーカーとして有名なMさんもツイートしています。
「乙武が銀座のあるお店で食事できなかった件。イギリスだと障碍者差別で訴訟。店負け確定」
他にも、Oさんに賛同するコメントがたくさん並んでいます。一緒にパソコンを眺めていた奥さんが言います。
「なんか恐い…」
あなたは奥さんをなだめます。それでも奥さんの気持ちは収まりません。さらにネット上では炎上が続き、まったくほとぼりは冷めません。数日後、奥さんは泣き叫びます。
「もうこんな仕事いやー!」