これもずいぶん前に読んだ切りだから細部はごめん。
あとネタバレ。
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時代は書かれた時代からすれば未来、イギリスが戦争中なので、少年達が疎開することになりました。
どこへかは不明。推察するなら南米かな。
でも途中で敵機の攻撃を受けて飛行機は墜落。
飛行機は爆発などせずにどうにか無人島に不時着する事が出来た。気候やなんかを鑑みるにマリネラの近くだと思われる。
大人達は全員死亡。
つまり、着陸してすぐに外に出た子供達だけが助かり、さあ、無人島生活スタートです。
大きな子で小学校高学年、小さな子だと小学校入学直前といった年齢構成の数十名は、さて、とりあえずどうするか悩む。
まずはリーダーだ。
リーダー候補は2名。
巻き毛の美少年ラーフ。
メインはこの二人、それに我らがピギーをくわえた三人がキーパーソンとなり話を進めていく。他にもちょこちょことでてくるやつもいるけど割愛。
さて、少年達は厳つくて馬鹿なジャックより見目麗しく優男なラーフをリーダーに据える。
ところが、このリーダー選は結局どちらもリーダーに向いていなかった。
じゃあ誰が、と言えば、誰も、としか言えない。しょせんガキなのだ。
ガキがガキをまとめるのは難しい。
あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。リーダーの命令も基本的には聞かない。
そこで生きてくるのが(死んじゃうけど)『豚ちゃん』ピギー少年。
彼は、おそらく誰よりも『どうすればいいか』の回答を心得ている。真理を知っている。
狼煙を上げるより先に夜に備えて寝床の確保をすべき。
こんな小さな島に大型肉食獣は存在できない。
①運動が苦手。
③プライドが高い。
④見た目が悪い。
統合すると、えらそうにあれこれ言うくせに自分では働かない太った不細工、となる。
特に④が致命的。みんなが彼のことを見下して、誰も彼の言うことなんてききやしない。
ラーフも当初は彼を見下しているのだが、リーダーとして失敗を繰り返すうちにピギーの本質に気付く。時すでに遅く、ジャックは文明に決別して野生の王国を打ち立てた。
その流れでピギーは殺害されてしまう。
まとめると、ピギーは、終始ブツブツいいながら、反抗的で、非協力的ないけ好かないやつだ。だが、存在意義としては、おそらく大人である読者に、この場合の正解を明示するキャラクターなのだ。
そのうえで、その他の子供達に間違った行動を取らせる。
ストレスは溜まっていき、ピギーが呟く度に崩壊に近づいていく。
蝿の王に出てくるピギーと言う少年はおおよそそんな立ち位置のキャラクターである。
ちなみに『蝿の王』の意味も解説しておくと、子供達が暗闇に投影する原初的な恐怖のこと。
ピギーが看破したにもかかわらず、子供達は暗闇に肉食獣が徘徊しているという。
中には、捕まれた、押し倒されたという子も出てくる。恐怖は増幅され、子供達の間では、暗闇には怪物がいることになってしまう。
『幽霊の 正体みたり 枯れススキ』とかそんな感じで、結局そんなものは存在しないのだけど、文明の光から遠く離れた暗闇など、僕だって怖い。
最後には、ジャック率いる狩猟隊から脱落した少年が、一人暗闇を歩き、無用に暗闇を恐れていたことを悟る。
彼はそのことを仲間に伝えようとするのだが、少年ながら暗闇を克服した彼以外の子供達は、暗闇から飛び出してきた彼こそを暗闇の怪物と思い込み、殺してしまうのだ。
一種の喜劇ですな。やっぱり嘘なんですけど。