2013-05-06

市民社会行動・リテラシーは、40年前比で2極化している】

5月3日の日経に「日本人金融行動は2極化しているのでは?」という問題提起があった。

「極端なリスク回避嗜好者(現預金嗜好者)と、FXとかにバンバン投資して、極端にリスクテイクする人と、

 2極化していて、中間層(ほどほどにリスクを取る人)が希薄」という趣旨

これって、金融行動以外の、市民社会行動、あるいは各種リテラシーについても、言えるのでは?

30年前、40年前とかと比べて、中庸に山が来る正規分布から、「リテラシーが凄い人」と「リテラシーが全く駄目な人」に

2極化が進行している気がする。

例えば、行政が、医療費増大を抑えるために、市民に「健康啓発・運動啓発」をしているが、

運動する市民」と「運動しない市民」の2極化が、30年前・40年前より、一層分化していたりする。

運動する市民の側は、より一層運動に励むが、運動嫌いな市民は、より一層運動時間が減少してしまったりする。

で、問題なのは行政が「健康啓発セミナー」を開催しても、集まるのは

「もともと健康運動好きな、健康オタク」ばかり来場してしまって、行政としてはもっとも来場して欲しい

運動嫌い、殆ど運動しない人は、全く来ない」ということ。

運動好きな人ますます運動啓蒙したら、活性酸素却って体を痛めてしまうのだが・・・

厚生労働省とかが「市民運動時間調査」しても、平均を見て論議するのは、全くの見当外れになる。

例えば「運動時間合計が1週間で1時間未満の人の比率が、30年前比でどう推移したか?」を可視化して、

そこにピンポイントした啓蒙作戦を練らないといけない。

運動とかの場合だと、例えば40年前とかは、職場で「大運動会」「ソフトボール大会」なんかがあって、

運動嫌いな人でも半強制的に運動に参加させられる「仕掛け」があったが、それが廃れて、

運動と向き合わなくても生活していける時代」になった、という面が大きい。

・・・あらゆる場面で「嫌いなジャンル、苦手なジャンルがあっても、別に向き合わなくても構わない時代」になり、

リテラシーボトム層は、ますますボトムダウンする、という構図になっている。

一方、運動好きな人サークルは益々盛んになり、より上手い人は上手くなり、運動量が増える。

なので、市民の間の「運動量の断絶」は、40年前比では相当酷くなっている。

成人じゃなく子供時代でも2極化していて、水泳などは、

スイミングスクールに通っていて、割と泳げる子」と、

「そういうスクールにも行かず、親が夏に海・プールに連れて行くこともない家庭の子」とでは、

水泳技量に相当な断絶が発生してしまい、体育教育現場では相当問題化しているらしい。

趣味世界は、もっと二極化が進んでいると思う。

40年前とかなら、芸能に疎い人でも、それなりに「山口百恵がどうした」「石原裕次郎がどうした」ということを知っていた。

おそらく世間話でそれなりに芸能の話題が出ていたので、あまり芸能に関心がなくても、必要に迫られて

芸能情報摂取せざるを得なかった、という側面もあろう。

しかし、今では別にAKBがどうした、EXILEがどうした、ということに全く無関心でも、まあ生きていける。

40年前と比べると、芸能情報に一切無頓着という「芸能オンチ」は、より一層深刻になっているのでは?

一方、ネットの深化で、芸能オタク層の芸能知識の深度は、40年前比でも相当深まっていると思う。

以前は芸能偏差値40~60に満遍なく分布してたのが、今は芸能偏差値80のオタクがいる一方で、

芸能偏差値20の「世間知らず」もそれなりに存在して、芸能偏差値40~60の中庸層は薄くなった気がする。

他にも「料理の腕」とか「日曜大工の腕」とか、さまざまなリテラシーライフハックで「2極化」が進行しているのでは?

あと、先日麻生副総理が、「1年間病院に行かない高齢者に、10万円あげることで、過度の病院通いを抑制できる」

とのアイデアを披露していたが、「病院通い」も2極化している気がする。

「用もないのに、病院にやたらと行きたがる、薬を貰いたがる人」と、

医者嫌いで、手遅れになるまで病院に行かない人」の2極化。

麻生氏は「用もないのに病院に行きたがる人」の抑制として「1年間行かなければ10万円のご褒美」というアイデアだったんだろうが、

これで「用もないのに・・・」という層が、果たして行動変化させるか?

結局、「医者嫌い」な人に10万円を交付するだけで、「用もないのに・・・」という人はなんら行動を変えない気がする。

→「医者嫌い」な人に10万円を交付して、「交付実績が上がった、政策効果が出た」と総括するようじゃ、単なるアホである

この場合は「医師嫌いな人に、もっと病院に行ってもらうように啓蒙」しながら、一方で

「過度に病院通いする人に、あまり病院通いしないように抑制啓蒙する」という両面作戦が必要になるので、極めて難しい啓蒙戦略必要になる。

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